賑わう手帳売り場 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 都内在住の男性(67)は保険会社を定年退職した後、手帳を持つつもりはなかった。リタイアしたら何にも縛られない自由な毎日が待っているはずで、母親がいる介護施設へ行く以外に書くことがなく、手帳があっても仕方がないと思ったからだ。だが、いまだ使い続けている。

「書き込むべき予定はぐっと減りましたが、年齢とともに記憶が曖昧になってきたので、備忘録代わりに記録することが増えたんですよ(笑)」

 このように、シニア世代になっても手帳を手放さない人は多い。最近は携帯電話やスマートフォンでスケジュール管理をする人が増えて、紙の手帳を使う人は減っているのかと思いきや、実は手帳の市場は拡大傾向にあるという。ビジネスマン向けのスケジュール帳を中心に展開する「高橋書店」や「日本能率協会マネジメントセンター」によると、売れ行きは右肩上がりだ。13年前に登場した、東京糸井重里事務所発行の「ほぼ日手帳」も2015年版は前年比120%となっている。

 近く最新刊『意外と誰も教えてくれない手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出版する手帳評論家の舘神龍彦さんが言う。

「スマホはロックを解除してアプリを選ぶ操作が手間だし、携帯の入力には案外時間がかかるんです。紙になら思いついたときに素早く記入でき、自由度が高く、長期の予定や書いたことを振り返るのも簡単。全体と細部を同時に見られるのも魅力でしょうね」

 当然ながら、紙の手帳にはバッテリー切れやデータ消失の心配がないのも支持される理由だろう。

週刊朝日 2014年10月31日号より抜粋

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