ライブドア元社長の堀江貴文氏は現在、新雑誌の発行準備に忙しいという。
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全く新しいムック形式の雑誌の発行準備が着々と進んでいる。まだ決定事項ではないが、理化学研究所の藤井直敬博士が開発した簡易型VR(ヴァーチャルリアリティ)キットを付録につけようという計画が持ち上がっている。
これは付録にアタッチメントとレンズを付け、それをスマートフォンと連動させて、VRを簡易的にだが体験することができるという試みだ。興味があっても二の足を踏んでいる人に新しい体験を手軽に提供することを実現するものだ。
つまり書店流通はあくまでも手段の一つであり、こういう新しい体験を届けるツールとして利用するというコンセプトである。雑誌では今のところ、先進的な企業のトップや、魅力的な女優さんなどとの対談を企画中であり、その対談風景を単なる動画ではなく、360度パノラマ映像で、まるでその場にいるかのように体験できるようになれば、おもしろいと考えている。
今までにない体験を安価に多くの人たちに体験させられるくらいのことをやらないと、紙の雑誌が売れるわけがない、という厳しい現実を突きつけるものでもある。
このキットが普及して、もっとスマートフォンが高機能になれば、新しいバージョンがどんどん出てきて紙の雑誌の定番になるかもしれない。
また簡易VRキットだけでなく、もっと新しいソリューションを提供できるようになるかもしれない。例えばスマートフォンのイヤホンジャックを利用してカード決済のネットワークを提供するスクエアなどのスマート決済ガジェットなんかも候補として挙がっている。
また、ウェアラブルデバイス(身につけられるコンピューターのこと)なども候補の一つである。新しいプロダクトというのは、どうしてもいきなり多くの人に体験させることは難しい。最初は値段が高めなのは、アーリーアダプター層という、まあ新しいもの好きしか手を出さないために大量生産が難しいからだ。もちろんクラウドファンディングなどの普及で、最初のプロダクトをつくるハードルはかなり下がっているが、最初のプロダクトをつくったところで普及させるまでには相応の時間を要する。社会をもっと便利におもしろくしたいと思えば、レイトマジョリティとよばれるその他大勢の人たちに普及させねばならない。その手段として書店流通と雑誌という形態は意外と便利なのではないかと思うのだ。
普通の製品マニュアルに比べれば、編集者が介在する雑誌メディアはわかりやすい説明を得意とするだろう。そういう意味で、私が発行する予定の新しいムックは、新しいアイデアによるチャレンジを試みる予定だ。
他にもこんなことやれたらいいなというアイデアがあれば、私のウェブサイト「ホリエモンドットコム」経由で知らせてほしい。
雑誌メディアのアドバンテージはなんといってもブランド力である。うまく利用すれば、対談相手もキャスティングしやすいかもしれない。
※週刊朝日 2014年5月9・16日号