相続税は2015年1月から基礎控除が引き下げられる。これはまさに「増税」にほかならない。特にそのあおりを受けそうなのが、都市部の戸建て住まいの人々だ。どこに住んでいると課税の確率が高まるのか。
住宅分野で日本最大級のデータベースを保有するアトラクターズ・ラボがまとめた全国2890駅のデータから編集部が「首都圏」「名古屋」「京阪神」で221カ所を抽出し、そのエリア内で相続税の課税対象となる確率「課税確率」を出した。
基礎控除の引き下げによって課税確率が高くなるエリアには「閑静な住宅地」「交通アクセスの良さ」「人気路線の沿線」「大学キャンパスが近くにある」などの共通項があった。いずれも、ある程度の地価を保つ条件を兼ね備えていた。
またデータから見えてきたのは、基礎控除の引き下げに影響される世帯が非常に多く、広範囲にわたると推測されることだ。相続税を実際に納めるのは、国税庁によれば全体の4%から6%に上がるだけかもしれない。しかし、その数の「外側」には、相続税の申告はしたが特例を使って納税を免れた人や、事前に節税策を講じた人もいる。特に土地を持っている人の大半は、今後の相続税に無関心ではいられなくなるのではないだろうか。
国土交通省の「平成25年版土地白書」によれば、日本の60歳以上の高齢者が持っている宅地資産は約530兆円ある。それは全体の約6割を占め、いずれ相続財産として子世代に引き継がれる。そのときに、不本意な相続をしないためにも、いまのうちから備えておくことが必要なのだ。
※週刊朝日 2013年9月20日号