
昨年3月11日に東日本大震災が起きて以来、美智子さまは天皇陛下を支え、被災地と被災者に寄り添い続けている。10月20日に78歳の誕生日を迎えた美智子さまだが、その素顔を知る人々の証言から浮かび上がるのは、「国母」といってもいいほどに、円熟味を増した皇后の姿だ。
美智子さまと被災地を語るうえでは、「花」というキーワードも欠かせない。
昨年の美智子さまの誕生日に、宮内庁は皇居に咲くハマギクと、そのそばにたたずむ両陛下の写真を公開した。このハマギクは1997年、両陛下が岩手県大槌町を訪れた際に贈られた種を皇居に植えたものだった。
同町立図書館・城山図書室の責任者を務める佐々木健氏は何げなく花言葉を調べ、声も出ないほど驚いたという。
「花言葉は『逆境に立ち向かう』だったのです。美智子さまから、復興のために頑張る大槌町の住民への励ましのメッセージだと感じ、ハマギクをあしらった新しい図書カードをつくりました」
美智子さまは今年の誕生日の文書でも、被災者についてこう気遣った。
「どうかこれらの人々が、もっとも的確に与えられる情報の許(もと)、安全で、少しでも安定した生活が出来るよう願うと共に、今も原発の現場で日々烈しく働く人々の健康にも、十分な配慮が払われることを願っています」
美智子さまの言葉からにじみ出る優しさは、皇太子妃、皇后として長い歳月を経て培われた末に生み出されたものなのだろう。
※週刊朝日 2012年11月2日号
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