同社の個人向けのレンタル携帯は、独自の反社会的勢力チェックを経て、月4980円(通話は無制限、パケット通信5Gまで、ゲーム課金不可)で契約でき、既に約300人が利用しているという。そのほか首都圏の就労支援や生活支援を担う行政の窓口約50カ所と連携し、生活再建をサポートしている。

 服役経験のある男性(58)は「連絡先がないと日常的に困ることがあった」と話す。

「銀行で口座を開くこともできませんし、遠方の家族に急ぎで連絡したくて高額の電報を打ったこともあります。役所に電話で問い合わせるときでも、折り返しの連絡を受けることもできません。何分後にかけますと約束してかけ直しますが、担当者が席を外していたりして、かなり時間を使います」

 高橋さんはこう指摘する。

「働く意欲のある人たちでさえ、一度携帯ブラックに陥るとなかなか抜け出すことができず、生活保護などの福祉に頼る生活になってしまいがちです。携帯電話やスマートフォンは既にライフラインになっているにも関わらず、国は娯楽品だとみなし補助はプリペイド携帯に限られているため十分とは言えません。レンタル携帯は新たなセーフティーネットとして必要なサービスだと考えています」

 冒頭のタカシさんは、就労支援の担当者からレンタル携帯を勧められ、新たな仕事を見つけることができた。現在、復職の準備を進めているという。

 誰もがスマートフォンや携帯電話を持つ時代だからこそ、セーフティーネットとして支援の対象にもなり始めている。便利な半面、安易に考えてはいけない物であることも確かだ。(AERA dot.編集部・金城珠代)