韓国ではエンターテイメントを産業の柱の一つとして捉えて積極的に援助し、今や防弾少年団(BTS)は全米制覇してヨーロッパや中東でも大人気で、BLACKPINKはアメリカの人気フェスの舞台に立ち、NCT127は日本より先にアメリカのTV局が大々的にフューチャーするといったように、すでに各国で確固たる人気を獲得している。ミュージカルにも国として力を入れているとなると、韓ミュ・ブーム到来も時間の問題か。

「日本だと演劇を勉強しても先が見えないという話はよく聞くことですが、韓国では大学の演劇科などに入学して学んだ後、力のある子たちがニューヨークやイギリスに留学してさらに学んで帰ってきてクリエイターとして成功する、ということも多く見られます。みんな希望を持ち、ショービズの世界に飛び込んで行くんです。みんな、すごく勉強していて、発想力がずば抜けて面白く、突飛なことを思いつく。それは育てる環境があるからこそで、結果、優秀な人たちが集まり、しのぎを削り、どんどんいい物が生まれていくわけです」

 韓国ミュージカルの魅力の基本には、そうしたクリエイターたちが生み出す『物語』の面白さがあるんだとか。韓ミュ・ファンの書くブログなどを読んでも、「とにかくシナリオが面白い」と多くの人が絶賛しているのが目を引く。

「ええ、そうですね。特徴的なのは、ストレート・プレイ(演劇)の舞台にも通じる、ストーリー展開の面白さがあります。どう進んで行くのか読めない、そんなわくわくドキドキが味わえるんです。例えば、7月に再演する(25日から/浅草『九劇』にて)私がプロデュースするミュージカル『SMOKE』は、出演者が3人。女性1人と男性2人で、その女性を男性2人が誘拐して山小屋に連れ込んだ、というところから始まるんです。男性の一人は見かけは大人でも心は幼い、もう一人は威圧的な人。少人数でどんどん話が転がっていきます。ネタバレになるといけませんからこの先は言いませんが、韓国映画にも通じるスリリングな展開を見せて行きます」

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