中越えの当たりが一転、中ゴロという珍事。次打者・新庄剛志が右前安打を放っただけに、本当にもったいなかった。結局、阪神は1死一、二塁からオマリーが投ゴロ、パチョレックが遊ゴロに倒れ、無得点に終わる。

　このちぐはぐな攻撃で、流れは一気に巨人へ。直後の2回表、駒田徳広の先制3ランが飛び出した。立ち上がりこそアップアップだった先発左腕・宮本和知も2回以降は立ち直り、終わってみれば、犠飛による1失点のみの8対1で完投勝利。長嶋茂雄監督も「初回が大きかったね」とニンマリだった。

　一方、結果的に試合の流れを引き寄せる珍プレーを演じたモスビーは、「あれは完全に掴んでいたんだ。落球したのは、そのあとだ」と“守備の名手”のプライドから自らのミスを許せない様子だったが、打つほうでも2安打2打点と勝利に貢献し、攻守とも結果オーライとなった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻（野球文明叢書）。

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