しかし、根尾にもその可能性が全くないわけではない。ここまで壁や課題を多く挙げたが、高校2年の冬から3年春にかけての攻守にわたる成長ぶりは目覚ましいものがあり、また夏の甲子園が終わった後も調子を崩さずに、さらにレベルアップしているように見えた。そして、周囲からの二刀流などの声に流されることなく、自ら野手、ショートで勝負するという強い意志を表明したこともプロで成功するうえでは非常に大きなプラスである。

 プロの高いレベル、京田の存在などを考えるとレギュラー獲得は数年後というのが手堅い予想ではあるが、そんな周囲の評判を覆すような活躍を見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼