■ペッパー君の時給はおいくら? 

 法人向けモデル「Pepper for Biz」ではPepper1体あたり月額5万5千円で、年間66万円。はま寿司では498体のペッパー君が活躍しているので、1年間で3億2868万円の投資になる。一見高額に思えるが、実際のところはどうなのか。ペッパー君の活躍ぶりが「一人前とまではいかないものの、0.5人分は働いてくれる」(今村さん)ということから考えてみたい。

 たとえば、ウィラ大井店アルバイトの時給は一般で1100円。同店の営業時間は平日11時間、土日祝日は11時間半なので、2018年11月の総営業時間は334時間半だった。つまり、ペッパー君の時給はわずか164円ということになる。もちろん、不具合などで“休憩”に入ることもあるし、何よりまだ半人前だ。しかしそれでもコスパが良いことに変わりはないだろう。

 そして、業務の効率化以外に、こんな効果にも期待する。

「お客様からの注目度も高く、『ペッパー君=はま寿司』というイメージにもなればと思っています。意外だったのは、ペッパー君を通してお客様同士の会話が生まれることもあるようです」(今村さん)

 Pepperはこの3年間で進化し続け、今年5月には日本語に加え、英語と中国語に対応する“トリリンガル”になった。入力だけでなく、番号の呼び出しもきちんと外国語で対応してくれる。ニッポンの食の代表でもある寿司を求めてやってくる観光客にはありがたいサービスだろう。レンタル契約の更新予定がない企業も多いなか、はま寿司のペッパー君は独自の成長を遂げてきた。

「開発元と密にやり取りをし、都度、課題を改善しています。はま寿司のPepperも最初は2時間しか稼働できませんでしたが、それが今や営業時間中ずっと動けるようになりました」(今村さん)

 従業員からは「ペッパー君にお皿などの片付けもしてほしい」などの要望も上がっている。

「それに、お客様からは『ペッパー君とお話したい』『座席まで案内してもらいたい』というご意見もいただきます。今後どんな機能を加えるか、バランスを見ながらペッパー君と共生していきたいですね」(今村さん)

 成長著しいPepperが、「働き方改革」に一役買ってくれるかもしれない。(AERA dot.編集部・福井しほ)

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