――生い立ちなどは話していましたか。
たまに。父親がいてないということと母親といてるということと、ほんで、ボランティアにも行ったことあると言っていたね。他に? ない。それくらい。
――樋田容疑者のタトゥーは気づかなかったか。
いや、いつも、分からんし。ほんで温泉でもテーピング巻いていたし。
――温泉に入る前にテーピングをしていたんですか。
それは知らない。普段は巻いていない。
――観光地にも行ったと。
観光地行ったところ? 調べて分かってるでしょ? 原爆ドームと錦帯橋と、岩国城、岩国の米軍基地、いろり山賊、周防大島で島一周ぐるりと観光して、音戸の瀬戸、あれは広島か。とびしま海道も行ったな。で、呉。呉って広島? ほんなら呉の潜水艦見に行って、自衛隊のとこにね。今すぐは分からない。地図見やんと分からない。
――職質されたという話もありますが、それ以外で警察に声を掛けられたりは。
二人で一緒にいてるときはないです。それ1回きりです。
――その時焦っているような様子は。
なかったですね。
――樋田容疑者が逃走犯に似ているとか言われることは。
ないですね。なかったですね。
――寝る時はどうしていたのか。
テントと寝袋。樋田容疑者も持ってましたね。
――樋田容疑者をどのように呼んでいたのか。
おい、とか。お前、とか。名前を読んだことはないね。
――樋田容疑者との旅で印象的だったことは。
全部が印象的やけど。そら、周防大島で自転車乗りの人らと一緒に写真撮ったことかな。日本一周やっているということで、自転車乗りの年代別チャンピオンかな、そういう人らと写真撮らしてもらって。いや、写真撮るっていうことはあるんやけど、チャンピオンいうのはすごい人で、その島で有名な人やったし。あんまり話はしていないけど。
――他に印象的だったことは。
うーん。他に……。うっとうしいって怒った時かな。「やかましい」って。面白いんやけど、うるさいから。とにかくうるさいから。「どこまで行くん?」と何度も聞かれるからうっとうしくなった。どこまででもええやん、と。
――樋田容疑者とサイクリングの決め事はありましたか。
ルールは俺の行きたいところしか行かない。それについてくるなら、ついてきていい。それと、(自転車を)あんまり後ろにつけるな、と。すぐブレーキを踏むからぶつかるで、と。他のルールはないです。
(今西憲之/AERA dot. 編集部・福井しほ)