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昨年末ペットフード協会から発表された調査結果によると、調査以来はじめて日本でのネコの飼育頭数が、犬のそれを上回ったのだとか。店に並ぶグッズをみても昨今は“ネコもの”が隆盛をきわめているようにも見える。
そもそもネコは益獣として人間に好まれた動物で、飼われてきた歴史は古い。最古の例は約9500年も前のキプロス島の遺跡に残っているという。
●お猫さまの歴史は古い
イギリスでは酒造所の害獣駆除の役目で飼われている“ウイスキーキャット”が有名だが、中でもタウザーという名のネコは捕まえたネズミの数でギネスブックに掲載されている。死ぬまでの24年間に1日平均3匹強のネズミを退治した計算になるらしい。
日本ではお蚕さまを守るためにネコが活躍した時代が長く続いた。ある意味、ネコは守護神でもあったわけで、多神教である日本において必然的にネコは神さま扱いをされるようになっていった。いわゆる“招き猫”の誕生である。
●江戸時代からブーム化した招き猫
招き猫という縁起物がブームとなったのは江戸時代で、江戸の街が発祥と言われている。
招き猫の由来にはいくつかの説があるのだが、江戸の町の由縁の元とされる3カ所の寺社をご紹介しておきたい。
●ひこにゃんのモデル豪徳寺(世田谷区豪徳寺)の猫
桜田門外の変で暗殺された井伊直弼のお墓がある世田谷の古刹(こさつ)だが、有名な彦根市のゆるキャラ・ひこにゃんのモチーフが猫であることも、この豪徳寺の招き猫伝説によるものだ。彦根藩井伊家の2代目・井伊直孝が鷹狩りの帰りに豪徳寺の門前で手招きする猫にひかれて寺に立ち寄り休憩をとるおことに。その直後に豪雨となり、さきほどまで直孝のいた場所に落雷があったとも伝わる。猫のおかげで厄難から逃れた直孝は豪徳寺を井伊家の菩提(ぼだい)寺として以後寄進をすすめたため、衰退していた寺は立て直ったという。この寺の窮地を救った猫を弔うため、のちに建てられたのが現在ある招猫堂で、直孝を招いた形を模した招福猫児(まねぎねこ)がつくられるようになった。奉納された、シンプルな右手をあげた白い猫像がずらりと並ぶ姿を、海外からの旅行者が動画配信サイトで紹介すると一躍有名に。今では国内観光地の有名スポットとなっている。9月末まで、世田谷線では「幸運の招き猫電車」が運行中である。
●彫刻家も注目した自性院(新宿区西落合)の猫
弘法大師・空海が開基の名刹(めいさつ)で、別名「ねこ寺」という。
室町時代の武将・太田道灌が、劣勢だった戦いから敗走中に道に迷っていたところ黒猫に招かれて自性院に身を寄せた。文明9年、江古田原合戦の最中の話だと思われるが、この後みごとに戦いに勝利した道灌はこの猫の地蔵尊を自性院に奉納、江戸時代にも子をなくした豪商が猫地蔵を奉納したと伝えられる。現在、この2つの猫地蔵は秘仏とされ、毎年2月3日だけに開帳される。