堂本光一主演「SHOCK」“拝むしかない”その魅力とは?

週刊朝日
 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、舞台「Endless SHOCK」(2月4日~3月31日 東京・帝国劇場)をウォッチした。

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 まばゆい! まばゆすぎて目がつぶれる。そんな堂本光一の主演ミュージカル「Endless SHOCK」のオープニングなんである。

【画像】まばゆすぎる!カトリーヌあやこ氏がみた「Endless SHOCK」

 キラッキラのライトの中、自ら発光しているかのような主役(なんたって名前も光一だ)が降臨する。

 一幕で、彼がシャツの胸元をゆるめると、ザッ! 9割方女性の客席では、一斉にオペラグラスが掲げられる。ガン見。ガン見とは、まさにこのことだ。

 とんでもない熱量の野鳥の会、いやこの場合、座長の会か。その視線が、舞台の一点(シャツが開いた三角地帯)に集中する。

 帝国劇場にて、初演からなんと19年目のこの舞台。通算上演回数は今シーズンで1700公演にも到達したという。一人で主演を務める国内の舞台では、森光子主演の「放浪記」2017回に次ぐ記録だ。

 19年たっても、まだまだ進化を続け、満員の客席も熱気みなぎる舞台。そのテーマはシンプルに「ショーマストゴーオン」だ。

「何があってもショーは続けなければならない」

 物語の主人公、ニューヨークで舞台公演を続けるカンパニーのリーダー格であるコウイチ(堂本)が、常に語る言葉。

「ステージは生き物だ」

 たとえ誰かがミスしても、全員でフォローするのだと。

 金の粉を振りまくようなコウイチの軽やかなフライング。次の瞬間、(物語の演出で)落下しかけるが、見事にフォロー。

 舞台は360度回転する真っ赤なオープンカーのイリュージョンへ……と、流れるように、舞台の表と裏が描かれていく。

 もうこれ、アミューズメントパークのアトラクションかってくらい。座ってるだけで(当たり前ですが)、スイーッと目の前の景色がどんどん変わる。

 フライング(ちなみにこの時のはりつめた上腕二頭筋も、オペラグラスポイント)から、マジックから、ダンスから、太鼓から、階段落ちへ。これがエンドレスなショックなんですねと、存分に思い知らされるのだ。


 まぁ、私もかれこれウン十年ジャニーズのコンサートを見てきたわけなんですが。この舞台、まさにジャニーズの全部詰めですよ。

 まずお化けね。お化けってのはヒュ~ドロドロじゃなくて、マイケル・ジャクソンの「スリラー」みたいな踊るゾンビ。二幕の冒頭に、あっ、お化け出たって思ったら、すぐシェークスピアだから。ジャニー(喜多川)さん、シェークスピア好きだから。

 皆さんある? お化けからの「ハムレット」見たことある? ここで見られます。「ハムレット」からの「リチャード三世」からの棺桶。棺桶も必須アイテムなんで、よろしく。

 そして、さらなる必須要素は、ジャパネスクだ。劇中劇で演じられる凄まじい殺陣(たて)。鎧(よろい)姿のコウイチと、きらめく刃、飛び散る鮮血。舞台中央には紅蓮(ぐれん)の炎に包まれた真っ赤な大階段。

 その頂上から、なんのためらいもなく転がり落ちる。ノーマットレス&ノー命綱。

 毎日、毎日、コウイチは落ちるのだ。千回、2千回と落ち続けるのだ。

 堂本さん、今年の1月で40歳になったんですよ。信じられねぇ。年をとらねぇ。3時間の舞台をノンストップで突っ走るエネルギー、もう拝む。手を合わせて拝むしかない。ハッと周囲を見回すと、みんなも拝んでた、たぶん。

 言うなれば、この舞台は「琥珀」だ。果てしない年月をかけて樹脂が化石化した琥珀。光にかざせば、黄金に輝く。

 その輝きの中には、長い長いジャニーズの歴史の中、育まれてきたエンターテインメントのDNAが、閉じ込められているのだ。

 座長であり演出家でもある堂本は、その「ジャニーズの琥珀」を手の中で温め、磨きあげ、輝かせ続けている。ジャニーさんがよく言っている「YOUやっちゃいなよ」こそ、「ショーマストゴーオン」なんだって、今私わかりました(え、違う?)。

 今回の公演から、オーケストラの演奏者を増員し、舞台正面のオーケストラピットから、生演奏が響いてくる。その圧がすごい。歌と共に、音を振動として体感できる。まさに生のミュージカルならではの迫力だ。

「~SHOCK」は今、ジャニーズのエッセンスを色濃く生かしながら、よりリアルにシンプルに、本格的なミュージカルとしてさらなる高みに向かっている。

「止めろよ、なんで止めねぇんだ。続けろ、続けろって、何を続けるんだ!?」

 これは、コウイチの幼なじみでライバル役・ウチ(内博貴)の台詞だ。ちなみにこの役は、ジャニーズ若手にとってミュージカルへの登竜門。これまでも今井翼、錦戸亮、生田斗真、屋良朝幸たちが演じている。

 彼らが追い続けるのは、コウイチの背中。まぶしく大きなその存在。舞台のその先にある夢や憧れ。そして焦燥。まるで、現実の彼らとシンクロするように見えてくる。

 止まらないこと。続けること。この物語で、くり返し語られる舞台の約束。けれど、舞台を止めないのはコウイチなのか、何があっても続けようと命を賭けているのは光一なのか。虚なのか、実なのか。見ていると、その境界線がどんどんあやふやになってくるのだ。

「ショーマストゴーオン」

 19年間。1700回。何度、彼は自分に、ライバルに、観客に問い続けたことだろう。毎回全力で生きて、落ちて、飛んで。これからも決してショーは終わらないのだと、彼は言う。まばゆいばかりの光を放つコウイチの顔に浮かび上がる矜持と孤高を、ぜひ生で見て頂きたい。きっと寿命が延びるから。

※週刊朝日  2019年4月12日号

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