ここ数年右肩上がりに伸び続けている中学受験率が、今年もアップした。大学付属校人気や、21世紀型教育を標榜する学校の人気は継続中。いわゆる2科(国語・算数)・4科(国語・算数・理科・社会)の入試ではなく、適性検査型、思考力型などと呼ばれる新しいタイプの入試も増えて、多様化が進んでいる。「カンペキ中学受験2019」(朝日新聞出版)から、2018年入試の分析結果と2019年入試の傾向を予想する。

難関大付属・系属校の志願者数(2017年、2018年)
難関大付属・系属校の志願者数(2017年、2018年)

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 首都圏中学入試では、受験率が底を打った2014年以降、毎年増加していた受験生数が今年も増え、受験率は4年連続でアップした。首都圏中学模試センター教務情報部長の北一成さんは、今年の傾向について次のように話す。

「過去3年間の増加数は450人程度でしたが、今年は850人と増え幅が大きくなっています。首都圏模試では、今年の受験生数は4万5000人とみています」

 受験生が増えた背景には、景気の回復に加え、20年から始まる大学入試改革の影響が大きいという。大学入試改革がマスコミで報道され始めたのが15年からだ。テレビや新聞、雑誌などで入試改革のニュースを見てきた保護者が、迅速な対応が可能で面倒見の良い私学を選択しているのだ。北さんは、今後大学入試改革の内容が明らかになることで、さらに来年は受験生が増えると予測する。

■大学入試改革の影響で、続く大学付属校人気

 大学入試改革は、ここ数年続いている大学付属校の人気にも影響している。まだ新テストの概要が明らかになっていないため、確実に大学に進学できる付属校に人気が集まっているのだ。一方で、サピックス小学部教育情報センター本部長の広野雅明さんは、保護者が付属校の教育の良さを評価しているからという側面も指摘する。

「付属校は大学受験対策に力を入れる必要がないので、教養教育やアクティブラーニングなどに多くの時間を費やすことができます。また大学受験を気にせず、適切なタイミングでの留学も可能です。さらに大学の充実した施設設備が使用できたり、大学のアカデミックな授業を中高生が受講できるなど、高大連携教育のメリットもあります」

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
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