長年、攻撃にさらされ、孤立し、無力感に悩まされてきた女性たちが「自分の手で子どもたちを守ることができる」と希望を見いだし、自ら生きる意味を実感しはじめていました。ぼくが訪問した家では、こう話してくれました。
「日本はかつて戦争に負け、焼け野原から努力して復興を遂げました。今、その力を平和的に、私たちのような地域に役立ててくれることに、本当に感謝しています」(ジャーナリスト・堀潤)
■「武力ではなく、対話を通して平和な社会をつくる」
この言葉はJVCの人道支援の活動ポリシーです。紛争や災害などで困難な状況にある人々への支援だけでなく、現地の人々の声を日本や世界に発信しています。今回、取材でお世話になったJVCの並木麻衣さんは、高校生のときにニュースで見たアメリカ同時多発テロ(2001年9月11日)をきっかけに、大学でアラビア語を学び、パレスチナに留学。卒業後は、アフリカや中東での支援活動に身をささげてきました。
■ガザ地区はまるで「天井のない監獄」
70年近く、戦闘状態が続いている中東のパレスチナ・ガザ地区。イスラエルが建設した巨大なコンクリート製の壁やフェンスに囲まれ、住民は自由に行き来することができません。2008年以降、イスラエルによるガザ攻撃はよりいっそう激しくなり、人や物資の移動も厳しく制限されています。
【今回のポイント】
●「人道支援」とは、紛争や災害など困難に直面する地域に物資や人材を送り、支援の手を差し伸べること
●人道支援は、国や、NGO(非政府組織)と呼ばれる民間の団体が中心に行っている
●人道支援には、「人道原則」「公平原則」「中立原則」「独立原則」の四つの原則がある
※月刊ジュニアエラ 2017年7月号より