それを受けて2007年に改正されたのが、国家公務員法だ。現役の職員が天下りの調整をしてはいけないことになったが、これを逃れるために文科省は、人事課のOBに中継ぎをさせていた。人事課の職員もひそかに調整の作業をしていた。

 国民から疑いをもたれないよう改めたはずの法律を完全に骨抜きにしていたとして、国会でも批判されている。

 安倍晋三首相は他の省庁でも法律違反の例がないか調査するよう指示し、その作業が進んでいる。再び起こらないようにと法律を変え、退職後2年以内に密接な関わりのある企業に就職してはいけないと禁止したり、問題のあるケースをチェックする委員会の力を強めたりする案が出ている。それだけでなく、公務員が定年まで働き続けられるしくみをつくるなど根っこから変えることも大切だ。(解説/朝日新聞編集委員・氏岡真弓)

【キーワード:天下り】
もともと神が天から人間界に降りることをいうが、「上」に位置する者が権力を笠にきて、「下」で高い地位につくことを指す。公務員が関連する団体や企業などに再び就職することを、批判的にとらえた言葉。公の権力を持つ者を「お上」とし、それ以外を「下々」と呼んでいた戦前までの考え方が、その背景にある。

※月刊ジュニアエラ 2017年5月号より

ジュニアエラ 2017年 05 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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