新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2020年3月以降、全国の小学校で休校措置がとられる事態となった。子どもたちの学びを止めないため、私立小学校ではオンラインを活用したさまざまな授業が展開された。その様子を、現在発売中の『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』(朝日新聞出版)が取材した。抜粋して紹介する。

MENU ■授業スタイル(2) 双方向型 ■今だからできる新しい試み

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■授業スタイル(1) 動画授業の配信

 桐蔭学園小学校(神奈川県)は4月からYouTubeを利用した動画授業の配信をスタートした。

「小学生が一人でオンライン学習を進めるのはなかなか難しく、家庭でのサポートが必須となりますが、保護者の働き方も大きく変化しているなかで、決まった時間に授業を行うのは家庭にとって大きな負担になるだろうと判断しました。配信型の動画授業ならば都合のいい時間に視聴できますから、まずはそこからスタートしました」(松枝秀樹教頭)

 低学年は3科目、高学年は4科目の動画を毎日配信。初めは撮りっぱなしでよしとしようと考えたが、教員たちの熱量と互いのサポートで、みるみるうちに動画編集技術が向上。回数を重ねるうちにクオリティーが上がっていったそうだ。もちろん英語の授業も動画で配信した。

「授業の始めのあいさつや体調を聞く、といったルーティンは変えず、普段の授業の雰囲気を損なわないようにしました。動画授業は教員側が一方的に発信して子どもは受け身という状況に陥りがちですが、本当の授業の中でやりとりしているような雰囲気を作るよう心掛けました。私が質問をして、『君たちの番ですよ』という動作をしながら子どもが答える時間を作ると、自分が発話しなくちゃと思いますよね。子どもたちがどんなふうに画面を見ているのかを考えながら、語りかけるような構成にしました」(英語科・金野日和先生)

 動画授業を行っていくうちに、その良さもだんだんわかってきた。

「休校明けに動画授業で行った内容を復習してみたら、思いのほか定着していました。子どもたちに聞くと、『この歌が気に入ったから、何度も動画を見たんだ』という声があがり、繰り返し視聴できる動画のメリットを感じました」(同)

 同校では現在も引き続き動画配信を継続中。配信数は1580本(取材時)にも上ったという。

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岡田慶子
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