「ここ数年の大学進学実績がいいのが、一番大きい要因だと思います。またコロナ禍にあって、オンラインの学校説明会でうまく学校のPRができた。YouTubeで本校のオンライン授業を紹介しており、見ていただいた小学生、保護者の方が、『この学校だったら』と支持してくれたのではないでしょうか」

 都立大泉(練馬区)は2人増、都立武蔵(武蔵野市)は1人増とほぼ昨年並みだった。それ以外は減少し、特に都立富士(中野区)は628人から519人と大きく減らした。その理由を宮田さんは「富士は中野という立地にあって、大泉や三鷹、武蔵などと競合しやすい。また周囲には私立中高一貫校や東大教育学部附属など、ほかにも魅力的な学校が多数ある」と話す。

 現在東京の11校のうち、6年一貫のカリキュラムで教育を行う中等教育学校が6校(千代田区立九段含む)、高校募集のある併設型が5校あるが、併設型の学校では高校からの募集を段階的に停止する。今年は都立富士と都立武蔵が停止した。来年度は都立両国(墨田区)と都立大泉が停止する。高校募集停止にともない、この2校の中学校の募集定員が増えるため、来年度は競争がわずかながら緩和されそうだ。都立白鴎(台東区)も年度は未定だが、いずれ停止する予定だ。

■埼玉に川口市立が開校

 神奈川には県立の中等教育学校が2校、横浜市立が2校、川崎市立が1校の計5校の公立中高一貫校がある。市立の3校はいずれも併設型で、高校募集を行っている(市立川崎は今年度から普通科のみ高校募集を停止)。東京や千葉の公立一中高貫校が志願者を減らすなか、神奈川は全体的に増加傾向だ。受験者数を昨年と比較すると、減少したのは市立川崎で12人、県立相模原(相模原市)で27人と微減にとどまった。逆に増えたのは、市立横浜サイエンスフロンティアで52人、県立平塚(平塚市)で62人、横浜市立南で101人と大きく伸ばしている。

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