新生活が始まる春は、環境の変化で大人も子どもも不安になりやすい時期。長く続くコロナ禍で、よりそれを強く感じている人もいるのでは。新刊「神子育て」を上梓した星渉さんは、そんな不安をコントロールする1つの方法として、感情に名前を付けてキャラクター化することを提案している。AERA 2021年4月19日号で話を聞いた。


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不安をコントロールする方法、「感情ラベリング」というものをご紹介します。
これは、もし不安の感情が出てきたら、名前をつけてあげることです。できればキャラクターを作ってしまうといい。
例えば、不安な感情が出てきたら、「不安くん」とか「ふっくん」と名前をつけて、キャラクターとしてイメージしてみます。ちょっと悪魔っぽい顔をしていて黒いしっぽがあるとか。それを体の中から出すイメージをし、「はい、不安くんは出ました!」とつぶやいてみる。
これは、自分自身と感情を切り離す方法です。これは心理学の用語で「ディソシエイト」と言います。
同じやり方で、怒りやイライラといったマイナスの感情でもできます。怒りは「いっくん」にしちゃうとかですね。「はい、いっくん出ていきました! どうしたの」と言って体から出してあげる。体から離す方法です。
■「セルフハグ」が有効
そしてぜひ自宅でやっていただきたいのが「自己受容のワーク」です。「自己受容」とは自分にOKを出すこと。「頑張ってるね」「大丈夫だよ」「よくやっているね」と優しい言葉をかけるだけでなく、腕で自分の体をギュッと抱きしめる「セルフハグ」をしてもらいたいんです。朝の洗面前に鏡を見ながらやるのでもいいですね。これ、わずか数秒でできるのに自己受容がものすごく高まります。
お子さんにだったら、ギュッと抱きしめてスキンシップをしてあげるのがおすすめです。朝、学校に送り出すときや、寝る前にギューッとハグしてあげてください。スキンシップは「幸せのホルモン」と言われるオキシトシンを分泌する最高の方法と言われています。
思春期の子で、ハグするのが照れくさいようだったら肩や背中をたたいて「おつかれさん」「がんばっているね」と言うのもいいし、握手をする、腕ずもうをする、などでもいいです。
とにかく、漠然と頭の中で考えているだけがいちばんダメです。マイナスの感情が出たらそれに対処する思考法を知っているかどうかで生活の質は大きく変わります。
今はまだコロナ禍でもあるので、あらゆる面で不安が大きくなりがちです。新学期になれば生活スタイルも変わり、そこからくる親のイライラも増えやすいときです。
そのようなときこそ、自分自身のメンタルコントロール術をしっかり知っておくことはとても重要です。親が知っていればお子さんに伝えることもできます。こういったことは学校では教えてくれませんから、親御さんが積極的に取りにいきたい情報ですね。
(構成/AERA with Kids前編集長・江口祐子)
※AERA 2021年4月19日号より抜粋
星渉

