私立・国立中学の受験者は約5万人。中学受験を考える親が知っておきたい基礎知識を、指導経験の長い2人がアドバイスする。AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』(朝日新聞出版)より一部抜粋して紹介する。
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■少子化が進むなか受験者数は増えている
少子化に歯止めがかからない一方、ここ数年、私立中学の受験者数は増え続けている。学習塾の栄光ゼミナールによると、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県における私立・国立中の受験者数推計値は、2015年度に4万5500人だったが、21年度には5万1400人となっている。
栄光ゼミナールの藤田利通さんは、こう分析する。
「文部科学省が高校と大学での学びをつなげる『高大接続改革実行プラン』を発表したのが15年。大学入試も変わると言われていましたが、当時はまだ、具体的な見直しの方向は見えていませんでした。先行き不透明な大学受験を避けたい目的もあり、ここ数年は特に大学の付属や系列中学校の人気が高まっています」
文科省が推進し、大学入試でも重視される「思考力」「判断力」「表現力」の育成に力を入れ始めた私立中学も受験者数を伸ばしているという。
■中高一貫校には大きく分けて3種類ある
中高一貫校には、「中等教育学校」「併設型」「連携型」の3種類がある。
中等教育学校は最初の3年間を前期課程、そのあとの3年間を後期課程とし、6年間の一貫教育を展開している。後期課程からの入学者は募集していない。
併設型は中高を接続した学校形態だ。高校からの入学が可能な学校もあるが、私立・公立ともに高校募集をやめる学校が増えている。「6年一貫のほうが教育の理念を遂行しやすいという学校側の思いがあると思います」(藤田さん)
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