ランキング上位を占める伝統校の人気が変わらない一方で、「コロナ禍を経て、時代の変化に対応する力、コストパフォーマンスを評価する視点も生まれている」と野倉さんは指摘。昨年の休校期間中、いち早くオンラインで授業を再開した宝仙学園小学校(ランキング17位)をはじめ、インターナショナルスクールと比べて学費がリーズナブルな玉川学園小学部のバイリンガルプログラム「BLESクラス(21年度よりEPクラスに改称)」などに対する評価が高まっていると語った。
■目の前の受験だけでなく長期的なゴールが重要
受験を気にせず伸び伸びと大学まで過ごせる伝統校へ行かせたい、中学受験のサポートをしてくれる小学校を選びたい、英語など独自の教育カリキュラムを持つ小学校がいい……志望校選びの基準は家庭によってそれぞれだ。小学校受験に求めるものが多様化するなか、どのような視点で、志望校を選べばいいのか。
野倉さん、吉岡さんともに強調するのは、「志望校の教育理念が、家庭としての教育方針に合致しているかが大前提」ということ。その上で吉岡さんは、「志望校選びは、短期と長期の視野を組み合わせた『遠近両用めがね』で見てほしい」とアドバイスする。
私立小に通わせるメリットは、感性が豊かな時期に、各校の独自の理念にそった教育を受けられることだ。
「『合格』という目の前の目標だけでなく、わが子に『最終的にどういう人間になってほしいか』という長期的な視点をもつことが大切です。ゴールにたどり着くためには何が必要か考えることで、志望校選びの軸も定まるでしょう」(吉岡さん)
◇吉岡俊樹さん
ジャック幼児教育研究所理事
創立50年の大手幼児教室である同研究所で、40年来の看板講師。iPad専用お受験アプリ「できましたっち!(https://jac-creates.com/)」も開発。
◇野倉学さん
バレクセル代表
慶應義塾大学卒業後、リクルートを経て独立。サイト「お受験じょうほう(http://www.ojuken.jp/)」を運営。私立小学校へデータに基づいたアドバイスも。
(文/澤田聡子)
※「AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2022』」より抜粋、一部加筆
朝日新聞出版