それでも削減できるのは月に2、3万円程度。藤川さんは「親御さんのお小遣いや食費に切り込み、旅行など遊興費も削減して月10万円ほどを工面するご家庭もあります」と実例を挙げる。
資産運用で手持ちの資金を増やす選択肢も考えられる。ただし、藤川さんは「10年程度のスパンで運用できる金額でなければ成果は出にくく、小学校のお金を資産運用で準備するのは現実的ではありません」と指摘する。2008年、世界的な株価下落や金融危機を引き起こしたリーマン・ショックの際には、運用していた資産が目減りして学習費を用意できなくなり、公立校に転校せざるを得なくなった例もあったという。
教育のマネープランは長期的視野で検討すべきだ。20年4月に「私立高校授業料実質無償化」が導入され、世帯年収が910万円未満なら、私立高校の授業料の支援を受けられるようになった。その分を大学の資金に回すのが一例だ。
児童手当も長いスパンで考えたい。配偶者の年収が103万円以下で、子ども2人の世帯主の年収が960万円未満の場合、子ども1人につき、3歳未満には月額1万5000円、3歳以上中学生までは月額1万円が支給される。この手当をすべて積み立て、さらに毎月1万円ずつ貯金すれば、中学卒業までに、大学4年間で必要とされる約400万円をためることができる。
■祖父母からの援助は課税の対象外に
子どもの祖父母から資金援助を受ける場合、23年3月末までなら教育資金贈与の非課税措置を利用する方法がある。藤川さんは「孫1人あたり1500万円までは非課税で贈与できるので、早めに贈与してもらうのがいいでしょう」と提案する。子どもの名義で教育資金口座を開設し、教育資金を一括拠出した際は贈与税がかからない。
一方、暦年贈与は年間110万円までは非課税となり、この範囲内で毎年、資金援助を受ける形もある。入学金や授業料をその都度、負担する場合は扶養義務の履行と考えられ、こちらも贈与税が課税されない。
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