「中学受験に向けて読解力をつけるためにも、まず本を読む楽しさを知ってほしい」。中学受験のコーチングや読解力トレーニングに定評のある齊藤美琴さんはこう語ります。子どもの読書習慣をやしなうコツと、読解力をきたえるのに最適なおすすめ本を聞きました。読書を通して志望校合格に近づきましょう。AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2024』(朝日新聞出版)より抜粋して紹介します。

MENU 「読ませる」のではなく、「一緒に楽しむ」が重要 小学3年生までに読みたい本 小学4~6年生で読みたい本

 中学受験の国語のテストでは「文章を読み解く力」が求められる。その力を養うために読書をしなければ、と考えがちだが、中学受験のコーチングや国語の読解トレーニングを手がける齊藤美琴さんは「読書は本来、楽しいもの」と語る。

「中学受験の問題を通じて新しい文章にふれることで『こんな面白い話があるのか』と刺激を受ける。それが私の理想とする中学受験の国語です」

「読ませる」のではなく、「一緒に楽しむ」が重要

 子どもが本を読みたがらなくなる理由は、学校の読書の時間をイメージするからだと齊藤さんは指摘する。机に座り、おとなしく読むことを強いられて苦手意識を持つようになり、本の楽しさを味わえなくなる。

「本来はすき間時間に楽しんでもいいですし、寝転がってリラックスしながら読んでもいいもの。そういう読書のスタイルを親御さんが見せてあげましょう」と齊藤さん。「子どもに読ませる」のではなく「親子で一緒に楽しむこと」が重要だという。

 読書を楽しむ習慣が身についたら、読みたい本に出合える選択肢を与えてあげることも重要だ。図書館でさまざまなジャンルの本を借りて選ばせてもいいし、模試や入試の出題作品を並べて「どれが面白そう?」と聞いてもいい。「これにしなさい」と指定したり、入試頻出図書だからと強引に読ませたりしては、子どもの読書嫌いは進行するだけだ。齊藤さんは言う。

「子どもが自分から本を手に取り、読んでみたいと思う、その気持ちを大切にしてください。そして、中学受験を見据えながらも、本を通じて家族の会話が増えるようになればいいなと思っています」

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池田敏明
池田敏明

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