■コロナ禍でもわが子に合う学校を見つけるための裏技とは
それでは、保護者は「わが子に合う学校」を発掘するために、どのようなアクションを起こすべきなのだろうか。長い間塾通いをして勉強に打ち込んだ中学受験。その成果として得られた合格切符を存分に生かし、わが子に楽しく充実した中高生活を送ってほしいと願うのは当然のことだ。
昨年来、コロナ禍の影響で「学校説明会」がオンライン化されたり、「文化祭・体育祭」などの公開行事が見学できなくなったりしている。今年は人数を絞った上で対面の学校説明会をおこなう学校も増えてきたが、すぐに満席になってしまい、「生の学校の姿」を味わえる機会がなかなか得られないようだ。複数の学校が集まる「合同説明会」も人数制限があり、瞬時に申し込みが締め切られるらしい。
Webサイトや各種学校案内でもある程度はその学校の雰囲気をうかがい知れるだろう。しかしながら、それらはあくまでも「外向き」のものであり、実像とは異なることもある。
それでは、気になった学校の「真の姿」「内部の様子」をどのようにして集めればよいのだろうか。
良い方法がある。
志望校として検討している学校の「在校生」「在校生保護者」に直接話を聞くことだ。できれば複数人とコンタクトをとるのが理想だ。
「そんなツテがなかなかなくて……」というのであれば、ダメもとでお通いの塾の講師に頼んでみるのも手だろう。わたしもよく卒業生を呼んで、彼ら彼女らが通っている学校を志望する小学生に面談形式で話をしてもらっている。小学生たちにとってみれば中高生はまさに「憧れ」の存在だ。こういう試みを機に学習にがぜん身の入る子どもたちを大勢見てきた。志望校選定のヒントのみならず、こんな副産物もある。
■下校する在校生たちからその学校の「教育観」を読み取ろう
最後に、その学校の雰囲気を知りたいのであれば、在校生たちの下校の様子をそれとなく観察するのも手だ。活発な子が多い学校なのか、おとなしい子が占める割合が高そうなのか、共学校なら男女の仲は良さそうか……。そして、何より在校生たちが中高生活を楽しんでいそうかどうか、その表情や一挙手一投足で感じ取ることができるだろう。そこにわが子の姿を置き換えて、「ああ、ウチの子もこんなふうにこの道を歩いてほしい」と感じられたなら、ご家庭にとってそこは「良い学校」になる可能性が高いのだ。
(矢野耕平)