これはあとから判明したことだが、Bさんは保護者の前では素直になれず、しょっちゅうクラスや塾の男子たちに関して「毒づいて」いたらしい。
この2例から読み取れるのは、子どもたちは家庭内と、学校や塾での「顔」を使い分けているという点だ。
そして、このようなケースは特段珍しいものではない。距離があまりにも近い保護者の前で見せる姿と、第三者的な立場の人間の前で見せる姿は違っていて当然のことだ。
もうお分かりだろう。志望校選定の際はわが子の家庭内の「顔」だけで判断してはいけないということだ。中高6年間は保護者の目の届かない空間で学校生活を送るのだから。
わが子に合う学校を探す際には、保護者が塾講師や小学校の担任、習い事のコーチなどにわが子がどんな性格でどんなふうにふるまっているのかをヒアリングしてみることが肝要だ。
■そもそも「わが子に合う学校」とは何か
そもそも「わが子に合う学校」「わが子に合わない学校」とは何だろうか。学校はしょせん「器」に過ぎず、その中でどんな学校生活を送るかでその良し悪しが決まるという考えもあるだろうし、わたしもその点は一面をうがっている見方であると考える。
たとえば、「男女別学校」と「共学校」は、その中で織りなす人間関係の濃淡が違うように感じる。 男子校、女子校は、「同性のみの学校生活」となるため、異性の目を気にせず、互いに遠慮しない関係性が構築される場合が多い。このため、男女別学出身の人たちは大人になっても中高時代の友人と仲良くしているケースがよく見られる。
しかし、これは長短を併せ持っているのだ。
中高時代の人間関係がうまくいかなくなってしまうと、その「濃厚さ」に耐え切れず、大変つらい6年間を過ごすことになりかねない。
実際、男女別学校に通い、途中で学校をやめてしまったような子は、成績不振よりも、人間関係のもつれがその原因になっているケースが多いように感じている。
もちろん、上述したことは「わが子に合う学校」「わが子に合わない学校」を測定する一つの尺度に過ぎない。
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