社会でも勉強でも人とのやりとりが大事になっていくなか、自分を客観的に見つめて、感情を上手にマネジメントしていけることが理想です。小学生のうちから家庭でできることは何か、「AERA with Kids冬号」では、法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生先生に聞いてみました。

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「感情が安定し、人とつながる力があると、結果的に学習能力も高く、キャリア選択時や人生の幸福度が高くなることが米国の複数の研究で明らかになっています」というのは、社会性と感情の学習(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング=SEL)を研究する心理学者の渡辺弥生先生です。

 日本の小学校でもアクティブラーニングが主流の時代。感情を爆発させたりせず、周囲と協働する力がなければ、落ち着いて学ぶこともできません。渡辺先生は、感情マネジメントには、まず気持ちを言語化して認識することが必要だと言います。

「赤ちゃんが泣くと『おなかがすいた?』と親は応答しますよね。同じように小学生になっても『悲しいよね』『悔しいね』と大人に代弁してもらうとホッとする。『ああ、これは悔しさなんだ』と言語から感情を習得していくのです」

 感情マネジメント力をつけるのは大人でも難しいこと。高学年でも、すぐには気持ちのコントロールはできません。

「まずは家族が寄り添ってあげて。わかってくれる人がいる安心感で少しずつ冷静になります」

 また、日頃から家庭でさまざまな感情表現に触れる機会を増やすのも気持ちを上手に伝えるようになるために効果的だと言います。

「お母さんは『疲れた』、お父さんは『ヤバイ』、お姉ちゃんは『ウザい』しか言わない家だと豊かな感性や語彙力は育めないですよね(笑)。大人が意識してボキャブラリーを増やし、生活を豊かにする言葉を使って会話をすることで、感受性は磨かれます」

 思春期になり、複雑な感情を抱いても、それを冷静に人に伝え、相手を思いやる。これが周囲とつながり、自分を表現し、学ぶ力につながっていくのです。

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玉居子泰子
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