ご存知のとおり、この10年、20年ではいろいろなことがありました。リーマンショック、震災、AIの台頭……。そして何と言ってもコロナです。予測不可能なことがたくさん起きたんですね。

 コロナなんて、科学者であってもリアルには想像できなかったことです。だからこれが起こったときに、「さあいったいどうしたいいんだろう?」ってみんな困りました。いったいこれをどう考えて、何を選択し、どう実行していけばいいのか、と。

 これらの経験を通して、教育に対する考え方もグンと変わったんですね。

 これからはすでに用意されている模範解答を求めることより、予測不可能なことに対応する力こそ大事だ、と。正確さやスピードが必要な問題はA Iが対応してくれる。それよりも人間がやらなければいけないのは、このような予測不可能な「模範解答のない問題」に対応していくことであり、それが「生き抜く力」であると。

 その力をつけていくために必要なのが「探究的な学び」です。

 どうでしょうか? 何となくイメージできてきたでしょうか。

 もう一つ、ちょっと視点を変えて、「探究的な学び」がいま必要な理由をお話ししていきます。

 世の中の学びの全てが予備校化している、というお話です。

 まず大学というのは「就活の予備校」として機能しています。どんな大学に入ったらどんなところに就職できるのか、理想の就職をするためにはどんな大学に行けばいいのか、というふうに、ですね。

 そして理想の大学に行くためにはどんな高校に入ったらいいのか、というように高校は大学の予備校になっている。そして理想の高校に行くためにはどんな中学に行けばいいのか。中高一貫という選択もありますよね。そのために塾に行って、中学受験をしようかな、と考える人もいて、その場合は塾が中学の予備校になっています。

 では就活が終われば人生の本番が始まるか?というとそうでもなくて、就活が終わってもずっと準備しているんです。

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