山本 あとは、違う解釈をすればこういう答えもあるんじゃない? っていう「別解」をいかに消すかにも、かなり気を使っていますね。
伊沢 思いやりだよね、作る側に必要なのは。解く側も「あ、この人はこうやって思いやってくれているんだろうな」という目線で問題を解いていたりする。
ふくら クイズの問題文に出てくる「ですが」もそれだよね。たとえば「〇〇は△△ですが、□□は何でしょう」という問題の「ですが」は、ひっかけだと思ってる人がけっこういるんだけど、どちらかというとひっかけではなくて、「こう来たらこう来るよね」って、先を読めるように配慮して作ってる。解く側も「これを前に持ってきたってことは、こういう問題だろうな」っていう信頼を前提にして答えるという構造になってる。
伊沢 お互いが変なことをしないっていう信頼感だよね。クイズ自体も思いやりだし、解く側はその思いやりを信頼して解く。結局、相手のことを考えるというのはどちらにも共通することかも。そういえば、最近ファンレターにも問題がいっぱい入っていますね。特に小中学生からのやつ。なかには、「おっ、けっこういいとこ見てるな」とか「オレも昔こういう問題作ったな」っていうのがある。みんなに作り手の視点みたいなものができてきたのはおもしろいし、QuizKnockをやっていてよかったところですね。みんなが作り手であり、答え手でもある。ギブアンドテイクで成り立っている業界なので。
――昔よりクイズ番組も増えたりして、クイズのレベル自体がどんどん上がっている?
こう 最近はクイズ番組も、昔見ていたころに比べたら、ちょっとレベルが上がっている感じがするかな。
伊沢 あまりレベルが上がりすぎてインフレを起こしちゃうと、おもしろくなくなっちゃう可能性もある。小中学生のみなさんが見て、「できる」と「できない」、「QuizKnockに勝った」と「QuizKnockってすごいな」が両立するようなエンターテインメントが必要なのかなと思いますね。
ふくら 一口にクイズ番組といっても、自分も一緒に考えて楽しいっていうものと、全然わかんないけどこんな難しいクイズに答えられてすごいなっていうスポーツ観戦感覚で見るのと、2通りあると思うんですよね。最近はわりと後者が人気なのかなって。
伊沢 そればっかりにならないようにしたいね。
こう そうね。自分も解けるんだなって思えるようなものがいいよね。
(構成 ジュニアエラ編集部・吉田美穂)
※『クイズで88本ノック 最強クイズ集団からの“謎解き”挑戦状』より
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