たとえば、人間関係。寮生活なので、ちょっと苦手な人がいても、距離をとるのが難しいこともあります。
自分が苦手と感じる人と、どう向き合うか。否定し続けていてはネガティブになってしまいます。そこで、相手を受け入れることや、直接自分の気持ちを話すなど、自分なりに考えて実践しました。小学生時代は引っ込み思案だったのですが、こんな経験を経て、自分の気持ちがきちんと言えるようになりました。
――高校はニュージーランドに行かれました。そのまま進級されなかったのはなぜですか?
もっといろいろな文化や人と触れあいたいという気持ちが強かったんです。休みごとに父とよくネパールに登山に出かけました。現地の人と同じ暮らしをして、現地の人と仲よくなって……そんなふうに、異文化の中に身を置くことがとても楽しかったのです。当時はイギリスにいたけれど、日本人ばかりの環境でした。
中3の冬休み。父とネパールに出かけたときに思いきって父に話したんです。すると父は「違和感を覚えたら、それを大切にしなさい」と言いました。山道を歩いていて、「あれ? もしかして自分は間違った道を歩いている?」という気持ちになることがあります。「そんなときは、来た道を一度戻りなさい」と父は教えてくれました。どんなときでも、違和感に敏感でありなさいということなのです。
学校は大好きだけれど、自分が思っている道とはどうやら少しちがうようだ。もっと異文化に触れたい。そこで、方向転換を決めました。すでに内部進学の試験も受けてそのまま高校に行く予定だったのですが、父が背中を押してくれました。
――ニュージーランドの学校はご自身で選んだのですか?
はい。大急ぎで調べました。条件として「とにかく自然に囲まれていること」。カナダやアメリカ、オーストラリアなど、留学先に多く選ばれる国も魅力的でしたが、自分があまり知らない国であることにひかれました。そもそも、ニュージーランドは南の国だと勝手にイメージしていたくらい(笑)。知らないことだらけのほうがおもしろそう!と思ったのです。
次のページへネパールでの環境活動