小学生になると、友達と川で遊んでいて溺れてしまうことが多いですね。男の子が溺れるケースももちろんありますが、女の子が何人かで遊んでいて1人が流されて、助けに入った子も流されて……というケースが目立ちます。なぜ女の子が多いのか理由は分かっていませんが、そういう傾向があります。

――親が気をつけたほうがいいことは?

 子どもだけで見ると、事故は海より川で多く起きています。なぜかというと、子どもの生活の範囲内にあるから。気軽に友達同士で水遊びに行きやすい川に、まずは気を付けるように伝えてもらいたいです。川遊びの際は、ひざ下までの深さの場所で遊ぶ分には問題ないと考えていますが、それ以上の深さのある場所は注意が必要です。また、整備された川だから大丈夫ということもありません。

川の流れが緩やかになっているところは油断できない

――川で溺れるときの状況として多いのは、どのようなケースでしょうか。

 実は、日本の川は流れが速く見えても秒速1メートルほどと、50メートル進むのに50秒かかる程度です。つまり、流れ自体だけで考えると比較的、穏やかなのです。それが流されて足を取られた、川の深みにはまってしまったとなると、溺れてしまいます。

 危険なのは、川の流れが緩やかになっているところ。実はそういうところが、深くなっていることが多い。一見安全そうな、流れが穏やかなところで、油断し気づかずに溺れてしまうケースが多いです。

――溺れたときは、どうしたらいいのでしょう。

 溺れたときは、じたばたせず、浮いて救助を待っていられることが大事です。そのためには、仰向けに浮かぶ「背浮き」ができるようなってほしい。体力を温存しながら浮いていられる一番簡単な体勢が背浮きなのです。以前、小5の子が海につながる水路で背浮きの姿勢で浮いているところを救助された例がありました。テレビで紹介されていたのを見て真似したといっていました。

もしもの時は「浮いて待て」

――泳力があれば水の事故は防げるのでしょうか。

 プールで上手に泳げることと、水難事故から逃れ命を守ることは別の話です。命を守るという観点で言うならば、クロールなど泳ぎの練習をする前に、まず「背浮き」を覚えてほしいと思います。

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