おすすめポイント
トビオは、氷が足りなくなるのが心配で、トランクに氷ばかり詰めてしまいます。お母さんは「もっと、さかなを、もっていきなさい」とどんどん魚を詰めてくれます。大きなトランクを持ってひとりで空港行きのバスに乗るトビオ。飛行機に間に合うのか、飛行機に乗るには空港のいったいどこに行けばいいのかと、不安と戸惑いでいっぱいの気持ちが、やさしいリズムと言葉づかいで綴られます。文は、詩人の斉藤倫さんと絵本作家のうきまるさんのコンビ。おふたりがはじめて手がけた幼年童話です。

はじめての空港で、行き交う動物たちに教えてもらいながら、なんとか飛行機まで行こうとするトビオ。そのがんばりを応援したくなります。お母さんから「しんせつにしてくれたひとに、あげるのよ」と教えられた通り、お礼の魚を、空港でいろんなひとにわたそうとするところがほほえましくユーモラス。保安検査所などで動物たちが引き起こすちょっとした出来事もおもしろいです。
挿絵がたくさん入っていて、淡々としつつもあたたかい、嶽まいこさんの絵がストーリーにぴったり。ブルーとブラックの2色印刷は、氷、空、空港や飛行機の美しさを引き立てます。
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