1ページごとにひとつの大ピンチをじっくり紹介
――そもそも「大ピンチずかん」を作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?
4年ほど前になるのですが、次男(当時小学2年生)の大ピンチに出くわしたのがはじまりです。『大ピンチずかん』の表紙にもなっているのですが、ある日、次男が牛乳をこぼした瞬間にかたまってしまい、牛乳だけがこぼれ続けました。僕自身、「拭いて!」ではなく、「面白い」と冷静に見続けてしまいました。小2にとって1L入りの牛乳パックって重いですよね。大人にとってはなんでもないことでも子どもにとってはやってみないとわからないピンチの瞬間がたくさんあるなと改めて思ったのが、本を作るきっかけとなりました。

――それぞれの大ピンチのページはシンプルなのですが、情報は満載です。こういうふうに読んでほしいなど、希望はありますか?
「大ピンチずかん」を作るときの最初の本のイメージは、さまざまな大ピンチを1見開きにバーッと詰め込もうというものでした。でもそれだとひとつひとつの大ピンチをあまり説明できず、もったいない。そこで、1ページごとにひとつの大ピンチをじっくり紹介していく形にしました。
一番上の大ピンチのタイトルを読んでメインの絵だけを見てもらってもいいし、ピンチの切り抜け方やクイズなど、ページの下にある情報まで読み込んでもらうこともできます。本を手に取ったときの自分の気分とそのときの用途やタイミングに応じて、いろいろな読み方をしてもらえればと思います。
楽しむ気持ちがあると、自分の中で気づきがわきあがる
――大ピンチに遭遇する機会がまだたくさんありそうな子どもたちへメッセージをお願いします!
楽しんでくださいしかないかな。僕は目の前のことを楽しむことってすごく大事なことだと思っています。僕自身、楽しみながら、一生懸命、みんなが楽しく読めるように本を作っています。みんなも楽しみたいという気持ちをもって読むと、きっと絵や文字の行間からも、「これって何だろう?」「どうしてこうやって書いたんだろう?」などと自分の中でいろいろと気づきがわきあがってくると思うんです。そういう自分の気づきから、世界ってどんどん広がっていくはずです。僕は本を通して、みんなの世界が広がるきっかけになるような、気づきのもとをいろいろと示せたらいいなと思っています。
またたくさんのピンチや失敗を経験して自ら乗り越えることで、発見や成長をどんどんしていってもらいたいです。
(取材・文 ジュニアエラ編集部)
朝日新聞出版

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