――「紙かデジタルか」の議論があります。中川先生はどのようにお考えですか。

 私はいいものは使っていこう、という考え方です。使いやすい道具を使えばいい。だけどアナログ文化で生きてきた親・教員の世代には「教科書がデジタルで大丈夫なのか」と思う人もいます。でも子どもたちは想像以上に適応力が高いです。たとえ小学校から中学校に上がって機種が変わってもすぐに慣れます。「あ、機種変わったんだね」という程度。心配するのは大人ばかりです。もう「紙かデジタルか」の二項対立の議論をしている段階ではないと思います。

 紙とデジタルの良さを活かしたハイブリットという考えも出てきています。もしかすると将来的に自治体単位ではなく、子ども単位でデジタルか紙かの教科書の選択をするようになるかもしれません。子どもは十人十色。紙が向いている子、デジタルが向いている子それぞれです。その辺が柔軟に対応できるよう検討する必要があると考えています。

(取材・文/大楽眞衣子)

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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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