パパの運転のほうが下手? 自動運転が当たり前の子どもたち
日本では完全な自動運転は少し先の未来に思えるかもしれませんが、シリコンバレーではすでに無人タクシー(Waymo)が街を走っています。小松原さんの家でも、テスラの電気自動車が“日常の足”として活躍中。通勤や子どもの送迎も、ほんど自動運転機能を使って走っているそうです。
「今の自動運転は本当に進化していて、一般道での合流や一時停止もちゃんとこなしてくれるんですよ。私が完全に手放しでリラックスして運転席に座り、長女が助手席、次女が後部座席に座って“誰も運転していないのに車が走っている”という不思議な未来感覚です」
ある日、自動運転にすっかり慣れている次女から、思わぬツッコミが。
「娘たちの送迎のとき、気分転換に『手動』で運転をしていたら、後部座席から『今、運転してるの、パパでしょ? 下手だからわかった』って……。もう、彼女にとっては人間が運転する方が“イレギュラー”で、しかも“下手”なんですよね。これには参りました」
新しいものが次々と生まれ、どんどんアップデートされていくシリコンバレーには、そんな変化を「おもしろい」と感じる人たちが自然と集まってきます。迷いや葛藤はあるものの、親世代の価値観やものさしで今の子どもたちを測らないようにしたいと小松原さんは言います。
「親がわくわくして、楽しさを子どもと共有する。そんな姿勢がこれからますます大切になるんじゃないかなと思っています。でも最近は、つい何でもAIに聞こうとしちゃって、娘には『私はAIに聞いてるんじゃなくて、パパの意見が聞きたいの』って叱られることもあります(笑)」
(取材・文/かたおか由衣)
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