親の価値観を押し付けすぎないように


 瀬谷さんは娘の進路や将来について、どのように考えているのでしょうか。

「私自身は田舎育ちで、親から進路について言われることもなく、自分で考え判断することが当たり前な育ち方をして、専門家がほとんどいない紛争解決の仕事をするようになりました。親の関わり方の影響って、思っている以上に大きいと思うんです。だからこそ、自分の価値観や意見を押しつけすぎないように日ごろから気を付けるようにしています。

 たとえば私が海外の紛争地で働いているからといって、子どもたちに無理にその分野に興味を持たせようとしたり、影響を与えすぎたりはしないように心がけています。もちろん、自然に家族の会話や日常生活で仕事に関係することは出てくるし、その中で自然に興味を持つのならいいし、娘が実際におこづかいで私の団体に寄付をしてくれたこともあります。でも、他の分野や進路含めて『これが正しい』『こうあってほしい』とレールを敷くようなことはなるべくしないようにしています」。

「ゴキブリは必要な生きもの」多くの人に知ってほしい

 ところで、瑠香さんがこれからやってみたいことは何でしょうか。
 「南米などの海外に行って、オーロラゴキブリやミドリバナナゴキブリを採集してみたいです」と明るい表情で語ります。
 
 一方、ゴキブリを駆除することについての考えも尋ねてみました。
「飲食店で出たら損害になってしまうし、駆除されるのは悲しいけれど仕方ない部分もあるとは思います。でもゴキブリは落ち葉や動物のフンを分解する働きもあって、森林や環境には必要な生きものです。家に出る種類だけじゃなくて、もっと様々な見た目や役割をしているゴキブリもいるんだって知ってもらえたら嬉しいです」と語ってくれました。

 日ごろからニュースを見たり本や新聞を読んだりするのも好きで、世界や日本の動きにも関心があるという瑠香さん。最近は経済やお金にも興味を持ち、子どもでも100円からできる「ミニ株」にも挑戦。お気に入りのファミリーレストランの株を購入し、動きを見ているそうです。


 ゴキブリから経済まで、幅広い興味を持つ瑠香さん、これからどのような道を進んでいくのか、とても楽しみです。

自由研究では、飼育しているゴキブリの様子や、毎日小学生新聞に掲載された瑠香さんのレポート原稿などをまとめた
本が大好きな瑠香さん。大人向けの子育て本、経済に関する本なども好んで読んでいる

(取材・文/柳澤聖子)

〇瀬谷ルミ子(せや・るみこ)

認定NPO法人REALs(リアルズ:Rearch Alternatives)理事長現在は、ガザ、シリア、アフガニスタン、南スーダンなどで争い予防や紛争解決、緊急支援に携わる。国連PKOや外務省で武装解除を担当。2022年The New York Times「世界に足跡を残す10人の女性」に選出。著書に『職業は武装解除』(朝日新聞出版)がある。現在、シリアの平和構築のためのクラウドファンディングを実施中。 ⇒ https://readyfor.jp/projects/reals2025

【前編も読む】ある日、子どもに「ゴキブリ飼いたい!」と言われたら? ゴキブリ嫌いの母が娘の興味に寄り添い、飼育をサポートするまで
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柳澤聖子
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