歯磨きのときは、できるだけ時間を稼ぎたいものですよね。この本は、表紙の裏の見開きに「大人向け」に役立つ、はぶらしロケットをやる時のコツを書きました。ここは漢字多めで(笑)。そこも参考にしていただけるとうれしいです。
全国のママやパパたちに、ただただ笑って楽しく過ごしてほしいのです
――子育ての大変な部分を、笑いや遊びに変えるのですね。
いえ、そういうわけではないのです。ほかの親御さんと同じように、子どもとぶつかり合って「もういいや」と半ばあきらめのような状態で適当にやってみたら、それが意外とハマった!というケースのほうが多いんです。決して、毎日こんなふうに「楽しい子育て」をしているわけではありません。
たとえば、おもちゃを片づけてくれない時に、運動会でよく耳にする曲を流して「さあ始まりました、全日本お片付け競争! まずは右手にミニカーを持った、左手にはなにを持つでしょう? おーっと左手はブロックだー!」なんて実況をすると、子どもは喜んで片づけをしてくれます。その様子を動画でSNSにアップすると、皆さんとてもいい評価をくださるのですが……。
全日本お片づけ競争は、わが木下家では年に数回しか開催されないスペシャルイベント。そんな、毎回毎回やっていられません。ふだんは、お片づけをしない子どもたちに「お片づけしないなら、捨てます」とビシッと宣言していますし(笑)。
――なんだか、ちょっとホッとしました。
わが家も、皆さんとまったく同じなのです。ただ、どうしようもなくユウウツだったり、大変なときに「苦しまぎれ」で生まれたアイデアで、たまたま子どもにハマったものってありますよね。それを「うち、これがうまくいきました」という感じでシェアさせていただいているのです。
よく、子育てについての講演の依頼をたくさんいただくんです。でも、すべて丁重にお断りしています。
――えっ、それはなぜですか?
僕は全国でネタやモノマネが中心のトークショーをしています。その際、たくさんのママやパパと話す機会もあるのですが、中には子育てに悩んで「私は、母親失格です」とおっしゃるママもいるんです。そういう方たちは、みんな子どもの寝顔を見ながら「ああ、今日も叱りすぎてしまったかも……」と自分を責めているんです。そうやって、子どもを守っている。「母親失格」なわけがありませんよね。そんな人こそいい親ですよと僕は言いたいです。
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