黒田監督、めちゃくちゃ好きです!

――黒田剛監督はどんな存在ですか?

 好きです! サッカーのときは熱くて、人としてもすごく面白くて。

 黒田監督はもともと青森山田高校で先生をされていたこともあり、言葉の選び方がとても上手なんです。自分がミスをしたとき、「このプレーは致命的」と言われたときは胸にぐさりと刺さりました。これまでミスをしても「致命的」とは言われたことがなかったので。

 ストレートに響く言葉のボキャブラリーが多いので、チームとしてやるべきプレー、やるべきでないプレーが分かりやすいですし、目標や目指すべき方向を明確に指し示してくれる存在だと思います。

どん底から這い上がったポルトガル時代

――2023年から2024年6月まで、ポルトガルのカーザ・ピアACに移籍され、海外でのプレーを経験されました。

 期間は1年半でしたが、大きく成長できたと思います。もちろん苦労もストレスも相当ありました。

――どんな苦労がありましたか?

 まず英語ですね。携帯電話や保険の契約なども英語なので、本当に苦労しました。チームメイトとのやりとりも英語でしたが、自分の意見を主張するにも、日本語のようにニュアンスをうまく調節できず相当強い表現を使ってしまったことも……。

 日本食が買える店も家から遠いし(笑)、最初は生きていくだけで精一杯だった気がします。

――どのくらいで慣れたのでしょうか。

 だいたい半年くらいで、ある程度英語でのコミュニケーションが取れるようになりました。そうなると、自分からチームメイトを誘ってプライベートで食事に行くようになったりして、だいぶ生活も楽しめるようになってきましたね。

 言葉の問題をはじめ、何不自由ない日本の生活のありがたみを感じつつ、ポルトガルで得たものも大きかったと思います。

ポルトガルのチームに在籍当時の相馬選手(提供)

――プレーの面ではいかがでしたか?

 最初はチームの調子も悪くて、僕も点が取れない、アシストもできないという状況が続いていました。このまま結果を出せなかったら、本当に何もなく終わり、日本に帰るだけだ、僕は何をしてるんだろう? と精神的にも相当追い込まれました。

 

 でもそこで、自分が必要以上にミスを恐れていることに気づいたんです。

 そのときから、ミスを気にせず自分で点を取りに行こう、アシストしに行こう、とにかく挑戦しなきゃダメだと考えるようになりました。そこからは一気に強くなれたと思います。

――マインドが変わってから特に印象に残った試合でのプレーはありますか?

 去年3月、当時はチームの監督も2回変わって、4試合連続でベンチ入りはしていたんですが、スタメンで使ってもらえたことはありませんでした。

 でも途中出場した試合で、監督に「今動きがすごくいいから、次のポルティモネンセSCとの試合はスタメンで使う」と言ってもらえました。

 嬉しい半面、ここで結果を残さなかったらもう二度と試合には出られない、攻めの姿勢で挑まなければ、と決意しました。するとその試合中、1人でドリブルして切り込んでいって、シュートを決めることができたんです。

 この経験は、メンタル面でも自分を大きく成長させてくれたと思いますね。

攻めの姿勢で挑み続ける相馬選手(提供)

チームを優勝に導くことでFC町田ゼルビアに恩返しがしたい

――今後の展望について教えてください。

 毎年、日々、“今が一番自分史上いい自分になっている”という実感があります。なので、それをずっとキープしていきたいです。

 今年一番の目標は、FC町田ゼルビアのクラブのエンブレムに初めての星印をつけること。そして星をどんどん増やしていくことですね。

――2022年にはワールドカップにも出場されています。日本代表に対するお気持ちを教えてください。

 本当に今の日本代表は強いし、若い頃から長い間海外でプレーしている選手も多く、その経験値はやっぱりすごいと思います。

 ただ、自分も今、体がしっかり作れていますし、この状態でプレーし続けていたらまたワールドカップを目指せるという自信もあります。ただそのためには、圧倒的な能力を示して、誰が見ても選ばれて当然ぐらいの結果を出さないといけません。

 まずは1試合1試合を大切に、勝ちを重ねていきたいですね。

――最後に、サッカーを頑張っている子どもたちにメッセージをお願いします。

 大人になって思うことは、みんなには無限大の可能性があります。日々を楽しんで、練習して、勉強して、頑張ってください! 応援しています!

相馬選手「まずは1試合1試合を大切に、勝ちを重ねていきたい」(提供)

(構成/阿部桃子)

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