タエ:小学校で算数や数学の先取りをしていたときに、小学生なら誰でも予選から参加できる算数オリンピックに出場していたんですけど、「できる子たちのすごさは違う」と感じて。算数以外にないかなと思っていたら、物理のオリンピックがあることがわかり、中3のときに「全国物理コンテスト 物理チャレンジ!」の問題集を印刷したんです。息子に渡したら、「お! やるんやん」と。

キリ:物理の問題もいつものように「お、次これか」くらいな感じでした。母はたくさん問題をプリントしてくれて大変だったと思いますが、自分は目の前の問題に向き合ってただけなので、そこは感謝しています。

タエ:こっちはあまりやらせすぎないように気をつけてましたね。量が増えるとしんどくなって嫌になるから調整をしたり、時間がない時はあきらめたり。

キリ:自分としては物理も数学も同じトーンで続けていたのですが、「全国物理コンテスト 物理チャレンジ!」では高1の夏に予選通過して、高2で再度チャレンジしたときは国際物理オリンピックの日本代表になりました。数か月間レポート提出もあったのですが、代表になれて大会で銀メダルをもらえたときはうれしかったですね。

――各国代表の高校生らが物理学の知識を競う「国際物理オリンピック」で銀賞をとった功績がきっかけとなり、東大推薦入試を受験しようと考えたキリさん。日本全国から選りすぐりの優秀な高校生が受験し、英語力だけでなく研究分野におけるコンクールの入賞、論文掲載や課外活動の実績が評価対象になる東大の推薦入試では、キリさんのこれまでの活動がアドバンテージになったといいます。

キリ:当時は正直、大学っていうものがどういうものなのかよくわかってなくて、行ったほうがいいかな、くらいでした。ただ、物理の世界に興味はあって。英検1級と物理オリンピックで推薦が通るかもしれないという話を聞いて、受けられるならと東大の推薦入試を選びました。とはいえ一般入試の場合はセンター試験を受験しなければならず、東大模試(予備校が実施する東京大学入学を想定した模試)は受けていましたね。

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