――複数の解法で解くというところまで手が回らない受験生が多そうです。
入試問題では、限られた時間の中で正解を導くことが求められているので、複数の解き方で学ぶことは遠回りに思われがちですよね。
そんな中、入試を通して、算数や数学の醍醐味を味わってほしいというメッセージを発信している素敵な問題だと思います。

――2025年度の中学入試算数を見て、トレンドはありますか。
今年に限ったことではないですが、トップ校の問題は確実に高度化し続けています。受験塾の対策も高度化し、入試の難易度が上がりすぎていることも問題視されていますね。
2025年の中学入試算数では、計算力だけでなく「未知の問題にどう挑むか?」が重視される傾向が今年も見られました。紹介した開成や灘、普連土学園の問題は、試行錯誤を楽しめる工夫がされており、パターン学習だけでは解けないようになっている点で良問だと思います。こういった算数の本来の面白さや発見の喜びを大切にした出題が増えている点は注目したいですね。
――中学入試算数の問題への想いは。
日本の中学入試における算数問題は算数の楽しさが凝縮された問題が多く、もはや日本が世界に誇れる「文化」とも呼べるでしょう。小学生が貴重な時間を費やして向き合うものとして、子どもの学びの体験を豊かにする問題、且つ算数の面白さを味わえる素晴らしい問題が、これからも多く生み出されていってほしいと願っています。
(取材・文/柳澤聖子)
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