「ガシャーン!」という端末の落下音が、端末にとって悲鳴のように聞こえます。「キャーー!」という叫び声、鳴き声に聞こえます。

 しかも、子どもたちは端末を落としても、意外と平然としています。理由を聞くと、家でもスマホやゲーム機を落とすことがあるからだそうです。私だったら、自分のPCやスマホを落としてしまったら、「しまった!」「大丈夫かな!?」と焦ります。

 子どもが端末を落としてしまったとき、私はつい感情的に、

「自分の物と違うで! 借り物やで!」

「親に買ってもらった物じゃないで! 税金で買ってもらった物やで!」

「卒業するまで使うんやで! 卒業したら、新しい1年生が使うんやで!」

「筆箱を落とすのと訳が違うで! 1回落としただけで、壊れてしまうこともあるんやで!」

 と、叱ってしまうことがあります。

なぜ子どもは端末をよく落とす?

 子どもが端末をよく落とす場所と時は、三つあります。

 一つめは、“端末の保管庫”から自分の端末を取り出したり、使い終わって元に戻したりするときです。かがんで端末を取り出して、立ったときに端末を落としてしまいます。また、端末の保管庫は学級に一つだけなので、元に戻すために並ばないといけません。保管庫の前で順番待ちをしているときに、近くの友だちとおしゃべりをしていて落としてしまうことがあります。

  二つめは、端末を持って“端末の保管庫と自分の机との間”を歩いているときです。端末を小脇に抱えて持ち運んでいるときに、端末がするっと床に落ちてしまいます。親指と人差し指の二本だけの指でつまんで持ち運んだり、片手の手の平に端末を載せて運んだりした結果、落としてしまう子どももいます。だから、「両手で、握って持ちましょう」という言葉がけを繰り返しています。

 三つめは、授業中に“自分の机”から落ちます。

 端末の支給はとてもありがたいことです。でも、端末が支給されたからといって、子どもたちの机のサイズは変わりません。授業中に、子どもたちが端末を使って学習しているとき、まず気を配っていることが机上の整理整とんです。使わない教科書やノート、筆箱は片づけさせたり、机の端に置かせたりします。体育での安全面への配慮と似ています。まず、端末が落下してしまわないように気を配っているのです。

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