不登校を視野に入れて、学校選びを一からやり直す
Kくんが「不安」に陥っている一因に、中学受験もあるのではないかと思い、何度も「受験はしなくてもいいんじゃないかな」と話をしましたが、塾には通うことができていたKくんは、受験はしたいと譲らなかったと言います。両親は、中学受験をしたとしても、このまま学校に通えなくなってしまうことを恐れ、志望校を再考することにしました。
まず、通学時間があまり長くかからず、お腹が痛くなってもすぐにトイレに行けるように、一つの電車に長く乗らずに通える学校をピックアップしていきました。そして、通常の学校説明会では判断しづらかったので、個別に相談を申し込んだそう。わが子の状況を説明し、もし中学でも不登校になったときの学校の対応を聞いて回ったそうです。
学校の反応はさまざまで「うちはそういう対応に遅れているところがありまして……」というところもあれば、「どんな子にも寄り添います」と断言するところもあり、千差万別でした。10校に話を聞きに行き、「ここなら安心してお任せできる」とはっきりと感じられた学校のポイントは、どの先生に話を聞いても生徒をサポートするスタンスが感じられたこと。「保護者と学校が協同して、子どもの不安を取り除いていきましょう」と、親からのヒアリングをよくしてくれたことが決め手となったそうです。その後、Kくんも一緒に説明を聞きに行き、「ここに通いたい!」という学校を迷うことなく2校に絞りました。
受験日、校門をくぐれないKくんを勇気づけたのは、ペットのウサギだった
本人が強く「受験する!」と言ったものの、受験日が近づくにつれて、不安が強まらないわけがありません。食べられない、眠れない日が増えていき「ママ、助けて」と小さな声で泣かれたときは、胸が張り裂ける思いだったと振り返ります。気分転換で一緒に散歩をしたときに、犬を見て「僕もペットが欲しいな」と呟いた言葉に、「マンションで犬は飼えないから、違うペットを飼ってみる?」と提案。パッと明るくなった顔を見て、翌日にはペットショップに行き、小さなウサギを迎えたそうです。無心に世話をしたり、無邪気に遊ぶ姿は、一時でも不安から解放されていることを感じられて、ホッとするとともに、この穏やかな気持ちがずっと続くことを祈らずにはいられませんでした。
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