親はすぐに干渉しちゃう
おおた 一人でずっと石を割ろうとしていたら、「退屈なのかな?」「みんなの輪に入りたくても入れないのかな?」なんて勝手に思い込んだ優しい大人が「こっちでいっしょに遊ぼうよ」なんてまったくの善意で邪魔しちゃうことがありますよね。
井本 親が来るとぜんぜん雰囲気が変わっちゃいます。やっぱり親はすぐ干渉しちゃうから。でも、参加した親御さんも、スタッフのスタンスを見て、いろいろ学ぶんです。
おおた いもいもの森の教室を見ていると、いろんな些細なところに子どもが没頭しているのを見られます。目をキラキラさせるってこういうことなのねってことが実体験としてわかります。いったんそれがわかると、いたるところで子どもたちの目が輝いていることに気づけるようになります。石を割るみたいなまったく生産性のないことに夢中になる子どもの息づかいを感じて、「没頭って、こういうことでいいんだ!」ってわかります。
それって自分の子どもだけ見てるとなかなか気づけないんですよ。それぞれの子どもにそれぞれの没頭があるってことがバリエーションとして見えると、急にいろいろ見えてくる。ほら、草むらでバッタを探すとき、一匹見つけると次々見つかるじゃないですか。目の焦点がバッタのレイヤーにそろうというか。それと似た感じで、子どもの目の輝きが見えるようになります。それが、森の教室に大人が参加する醍醐味だと僕は思います。
宮本 それで期待してたのとぜんぜん違うと思ったら、一回で来なくなるでしょうね。
おおた 「わざわざお金払って檜原村の山奥まで行って、5時間かけて石を割るだけだった」って、ぼったくられたと思われてもおかしくない(笑)。
井本 でもその子は、毎回来たいと言ってます。テーマパークに行くよりもはるかに価値があるんですよね、そういう時間のほうが。いや、たしかに言われるんです。「お高いですよね」って。でも中学受験塾には年間100万円とか支払うわけでしょ。受験とか、結果が出るものに対してはお金を払うけど、楽しいだけの時間にお金を払うのはもったいないという価値観があるわけです。だから、子どもが楽しく通えば通うほどイライラするみたいなひとはいますよ。そういうひとは結局入ってきませんけどね。
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