でも、だんだん「戦略」や「対応」という方法もとれるようになってきます。それまでのきょうだいげんかから、いろいろと学ぶんですね。この「口をきかない」ケースも、けんかの発展形です。相手を無視することでダメージを与える作戦。これも「成長」と見ると、ちょっと気持ちがらくになりませんか?

 とはいえ、何日もずっと口をきかないのは少々心配です。同じ家に住んでいる相手とずっと戦っているのは、とてもきついことです。それは夫婦げんかも同じですね。でも、大人の場合は「あきらめる」ことができますが、子どもがあきらめるという戦略をとることはありません。ここは、介入してあげていいでしょう。そして「見ているこちらもつらいのよ」と伝えましょう。「お父さんとお母さんも考えるから、ふたりがどうすれば仲よくやれるか話し合おう」と誘うのもいいですね。

 こんなふうに「きちんと話をする機会」をもたずに、なにかが起こってからその都度の対処ではブレが生じてしまいます。そうならないためにも、普段から「わが家のきょうだいげんか」について家族でルールを決めておくことは有効です。

 発展形といえば、「おかあさーん、〇〇が勝手にお菓子食べてるよー」という告げ口ケースも、ひとつの進歩です。相手を下げて、自分を上げる作戦ですね。こんなふうによく観察していると、けんかの中に子どもの成長を発見することができます。

「あなたは特別!」な時間をつくってあげよう

――下の子とをかばうと上の子が「〇〇ばかりずるい!」「ママはひいきする」とむくれてしまいます。

 上の子が下の子にやきもちをやいて「下の子と僕とどっちが好き?」と聞いてくるのも「あるある」パターンです。しかし忘れてはいけないのは、上の子はそれまで「ひとりっ子」だったということです。ある日弟や妹が現れて、親の愛情をごっそり持っていってしまう……。そんなふうに感じているのです。

 これを聞いてくるときは、自信がないとき。不安なときです。ですから、僕が思う正解は「ふたりとも大好きだよ」ではなく、「あなたがいちばん好きだよ」と答えてあげること。そうしないと、また自信を失ってしまいます。

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