一言もしゃべらず、無言で掃除に取り組む小中学校の「無言清掃」を知っていますか。長野県で熱心に取り組む学校が多く、“長野県あるある”として取り上げられることもありますが、実際には全国各地で取り組まれているようです。伝統として続ける学校もあるなか、子ども自身が「どうして無言なのか」を理解していない場合も。無言清掃のナゼについて探りました。

MENU しーん…おしゃべりナシ、BGMナシの学校掃除 しゃべったら先生に怒られる…厳しすぎる指導も 長野県だけではない!1970年代に全国に広がる 世界でも珍しい子どもの学校清掃は明治時代から 無言清掃への批判もあるけれど学校はピカピカに

しーん…おしゃべりナシ、BGMナシの学校掃除

「小学生のときから、これはなんのためだろう?と思っていました」と語るのは長野県出身の女性(31)です。通っていた小学校では掃除中におしゃべりをしてはいけないルールがあり、学校を挙げて熱心に取り組んでいました。「はあ〜とため息をついただけで、男の子から『今しゃべった!』と言われていました」と振り返ります。

 おしゃべりしないで黙って取り組む掃除は、「無言清掃」「もくもく掃除」などと呼ばれ、現在も複数の学校で実施されています。「無言清掃週間」という強化週間がある学校や、しゃべらず掃除できたか自己評価するチェックカードのある学校も。

 7年前に埼玉県から長野県へ移住し、小中学生2人を育てる女性は、初めて無言清掃を目の当たりにしたときに衝撃を受けたといいます。

「たまたま掃除の時間に用事があって小学校へ行ったら、BGMも流れずしーんとしているんです。ふざける子もいなくて、みんな黙々と一生懸命に掃除していて驚きました。さすが、学校はピカピカでした」と女性は話します。

 掃除の時間と言えば音楽が流れ、ふざける児童もいるなかワイワイ言いながら楽しく掃除するーー。こうした子どものころの記憶とのギャップに疑問を抱いたそうです。

 「あまりにもびっくりして周囲に聞いてみましたが、先生や学校によって温度差があるようです。担任の先生にどう思うか聞いてみたら、『内心好きではない』と打ち明けてくれました。あるお母さんが清掃時間に小学校へ行ったとき、子どもたちは無言を厳守するあまり、誰も声掛けに応じてくれなかったそうです。それは不自然ですし、自己評価のチェックカードも厳しすぎる気がしました。もっと楽しく掃除できたらいいのにな……と思います」

次のページへ手ぬぐいを巻く学校も
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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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