都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。中学受験塾・希学園首都圏の学園長で国語科専任講師を務める山﨑信之亮(やまさき・しんのすけ)さんと対談し、国語の文章問題が苦手な子がつまずきやすいポイントなどを聞きました。
【マンガ】小5の終わりからの受験勉強で難関大付属中に合格!サッカー少年が受験を突破できた“理由”(全33枚)国語は、「作者」と「作問者」の2人がいる
――国語を苦手とする生徒には、国語は“諦めてしまいがちな科目”とも言われています。授業をおこなううえで、工夫していることはありますか。
山﨑信之亮(以下、山﨑) 国語の文章問題には、物語文なり論説文なり、もととなる文章を生み出す「作者・筆者」とは別に、「作問者」が存在することをわかってもらいたいので、そこは意識して伝えるようにしています。
それがほかの教科と違うところで、算数においては、作問者からの問いを回答者が受け取り、ゼロから答えを生み出すというシンプルな構図が成り立つ。社会と理科も、頭の中に入っている知識から答えを引っ張りだす作業を通して答えを導き出すわけです。
国語の授業では、僕は文章を「食材」に例え、作問者を「料理のオーダーを出す人」と例えています。「ここにカレー粉、ニンジンとジャガイモという素材がある。オーダーを出す人、つまり作問者は『肉じゃが』を作ってほしい、と言っている。だったら、いくら目の前にカレー粉があるからって、オーダーを聞かずに勝手にカレーを作ってはダメだよね」と。記述問題で、設問をちゃんと読まずに好き勝手書いてしまう生徒にわかってもらうためにはそう伝えるのがわかりやすいのかな、と。
茂山起龍(以下、茂山) いま聞いていて驚いたのですが、まさに僕も同じような例を挙げて教えています。
山﨑 え、本当ですか? まるで打ち合わせしたかのよう(笑)。
作問者は何を見て“オーダー”を出しているのか
茂山 問題を解く前の段階で、市場から食材を仕入れてくることが「文章を読む」ということなんだ、と。もととなる文章を読み込んでいない=素材を仕入れていない、ということであり、さらにオーダーと違うものを作ったら、そりゃ点数はもらえないよ、と。何を作ってほしいのか、ヒントはちゃんと設問に書かれているのだから、しっかり読まない限り、点数にはつながらない。逆に言えば、作問者が何を見てオーダーを出しているのかに気づき始めた子はやっぱり強いので、そこは授業でも時間をかけて教えているところです。
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