安浪:「もうひとつ。ここにいるお子さんは全員、デジタルネイティブです。生まれたときからスマホやタブレットなどのデバイスが身近にあり、学校でも支給されている。

 一方、指導の現場ではここ数年、しっかりした字が書けない子どもたちが増えている傾向があります。鉛筆がしっかり持てないから筆圧が弱い。線もぐにゃぐにゃ。図形を描こうとしても、まっすぐな線が描けない。

 ひらがなもカタカナも漢字も、ふにゃふにゃ。そうなると、入試では正確に書けていないとみなされて評価されないこともあります」

「この中に正方形はいくつあるかな?」という問いに、元気よく手を挙げる子どもたち

鈴木:「手を使うという意味では、図形パズルを親子で作るのもいいですね。

 工作用紙に大きな正方形を作り、その中にさまざまな図を描く。それをハサミで切り離してバラバラにして、また元の正方形を作るというパズルをAERA with Kidsで紹介していますが、これが大人でも案外難しいんです。これなら手も頭も使うし親子で楽しめますよね」

安浪:「算数のすべてを、無理に好きになる必要はないんです。暮らしの中で自然に接する数字や図形を通して『これは好き』『これは得意』というものがひとつでも増えればいい。ぜひ、まわりを見回して、きっかけを探してみてください」

(文/浅野裕見子)

子どもが「算数好き」になるために、暮らしのなかでできる工夫とは?
AERA with Kids 2024年 秋号

AERA with Kids編集部

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