安浪:「今の入試は机上で得られる知識よりも、生活に根付いた知識をどう活かせるかに焦点を当てた問題が増えていますね。かつて大学入試といえば、ペーパーテストの点数の高い人が合格するのが中心でした。

 これを一般入試(一般選抜)といいますが、いま、全国の大学で一般選抜で入学する学生の割合は、全体の半分程度になっています。

 残りの半分は、AO入試(総合型選抜)と推薦入試(推薦型選抜)です。総合型選抜は、自分の興味のあることを中学や高校で徹底的に追求して、それをレポートにまとめたりプレゼンテーションしたりする形式のもの。評価する側は多彩な切り口で受験生をとらえようとしている。それには生活経験がないと対応できないのです」

基礎力や『地頭』を鍛えるためのアドバイス

子どもたちに問題を出しながら、参加した親に向けてもメッセージを伝える、算数教育家の安浪京子さん
子どもたちに問題を出しながら、参加した親に向けてもメッセージを伝える、算数教育家の安浪京子さん

安浪:「小学5年生、6年生に中学受験向けの指導をしていますが、そこで痛感するのは『言葉の意味がきちんと理解できないと算数も解けない』ということ。単語、助詞、主語、述語などをしっかりと理解する必要があります。

 たとえば「3を7で割る」と「3で7を割る」の違いはわかりますか?

 数式にすると「3を7で割る」は3÷7、「3で7を割る」は7÷3となる。”を”と”で”の助詞の違いがわからないと、まるで違う式になってしまう。

 正確に言葉を理解するには、読書はもちろん、家庭内の会話もとても大事。家族同士では”ねえ、あれ取って”と雑な言葉でも通じてしまう。そこをあえて、ほかの人にお願いするように”机の上にあるハサミを取って”と、助詞や述語、目的語を明確にする。『雑な会話』を避けるんです」

鈴木:「些細に思える日常のやりとりのなかでの積み重ねが大切なのですね」

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