ただ、そこで「量をこなそう」と考え、問題集をひたすら解くことで一気呵成(いっきかせい)にできるようになる科目でもないんですね。国語の成績を伸ばしていくには時間をかけた“体質改善”が必要で、まずは“筋肉”を鍛えることから始めなければいけない。地道な「筋トレ」を続けていれば、ある日突然できるようになる科目でもあるんです。

国語を伸ばすには、まず「漢字」と向き合うことから

――国語における「筋トレ」とは?

茂山 僕はまず、「文字を知る」ことがすごく大事だと思っていて。「漢字」をないがしろにしている生徒があまりにも多いと思うんです。それは家庭にも一因があると考えていて、ひらがなやカタカナは親も一緒になって練習してきたにもかかわらず、「漢字」になった途端、「あとは自分でできるでしょ」と言わんばかりに手を離してしまう。

 子どもは文字を知らないので熟語がわからないし、熟語がわからないから、一文の意味を正確に理解することができない。すると段落で書かれている意味も取れず、結果的に物語で書かれている内容がほとんど理解できない……という事態に陥る。「文字」は文意をつかむうえでの最小単位であると思うんですよね。

山﨑 うちの塾の国語の授業では、漢字についても教えていますよ。象形文字、指事文字、会意文字、形声文字、とそれぞれの特徴や成り立ちをストーリー仕立てにして。口に鳥で「鳴く」とか、田んぼに力で「男」とか、本当にそういうところからです。

 僕はこの仕事を始めて20年近くになりますが、茂山さん、「漢字を書けない生徒」が目に見えて増えていると思いませんか?

デジタル端末の普及で、漢字を正確に書けなくなっている

茂山 それは本当に感じます。スマホの影響ですよね。勝手に変換してくれるから、「読めるけれど正確に書けない」生徒が増えている。

山﨑 漢字も画像のように覚えてしまうから、横線や縦線を一本多いまま覚えてしまっていたりね。「商」と、「敵」の「へん」部分が同じと思っている生徒も激増していると感じます。「書けなくていい」と本気で思っている節もありますよね。

山﨑信之亮さん  撮影/和仁貢介(写真映像部)
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