仕事に家庭に、子育て世代のママパパは常にストレスにさらされています。このストレスの対処に大きく関わるのが「非認知能力」。この能力を育てるには、子ども時代の過ごしかたが影響してくると、1万人のビジネスパーソンをみた産業医の武神健之さんは話します。武神さんに、ストレスに負けない非認知能力の育て方を聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids2024秋号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【図表】ストレスに弱い人、強い人の特性とは?非認知能力の高い大人は「生き方」上手
大人になると、子ども時代とは使う力、求められる力が変わってきます。
「それが大人のストレスのもとになるものです。しかし、非認知能力の高い人は、これを柔軟にやり過ごせています」
ここで勘違いしてはいけないのは、非認知能力が高い=ストレスを「はねのける、耐えられる」ということではないということです。
「たとえば、問題が小さなうちから対策を立てたり、助けを呼んだり。非認知能力が高い人は、こんなふうにストレスになる前に解決するなど、そもそもストレスを生み出さないようにできる。つまり、ストレスに対処する力が“強い”ということなのです」
それには、ほかの人との協調性や切り替える力、想像力や柔軟性などさまざまな力が必要です。
「すなわち非認知能力ですね。ストレスに強い大人の話を聞くと、子ども時代の“経験”の中で非認知能力がしっかりと育まれていると感じます」
非認知能力が高い大人は、ストレスだけでなくさまざまなことへの対処がうまいと武神さん。
「まさに、生き方上手ですね」
非認知能力を伸ばすために、子ども時代には何をしたらいい?
では、非認知能力を伸ばすうえで、武神さんがいちばん大切と感じることはどんなことでしょう。
「まず親子で『いっしょに』なにかをすること。本を読む、ボール遊び……『親子で』が大切です」
次に、リアルな「体験」も必須だと武神さん。
「たとえば砂山をいかに高く、硬く作るにはどうしたらいいか。友達と相談しながら完成したときの喜び、崩れたときのくやしさ、再び作り始める挑戦心。これだけで、コミュニケーションや試行錯誤、達成感ややり抜く力などあらゆる非認知能力をフル稼働させます」
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