実はここから子どもの次の不安は始まっています。こんなに喜んでいるということは、明日行けなかったら、また親をがっかりさせてしまうからです。どうしよう、明日も行けるかなぁ――その不安と緊張が強まると、また朝起きられなくなるケースが多いのです。ここが難しいところですね。

敷居の低い親子関係を目指そう

 本人の意思で学校に行きたくて行けたなら「よかったね」と言葉かけしてあげてもいいかと思いますが、過剰な喜びはかえって次へのプレッシャーになるということを、頭の隅に入れておいてほしいと思います。

 帰宅した子どもに「学校どうだった?」「楽しかった?」など、質問攻めも控えましょう。なにか話したいことがあれば子どもからいってくるでしょう。そのために、ふだんから親にヘルプを出しやすいような関係づくりを心がけてくださいね。日常の、どうということのない、意味もないような会話が実は大切です。食べ物や芸能人、YouTubeや映画、音楽など何でもいいんです。敷居の低い親子関係になっていれば、子どもはちょっとしたことでも話しやすくなって、こちらから聞かなくてもいろいろ話してくれるはずですよ。

「なぜ学校に行けないの?」と聞いても、子どもが「わからない」と言うのはなぜ? 不登校で“原因探し”より大切なこと
マンガでわかる! 学校に行かない子どもが見ている世界

西野 博之,來來珈琲店

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西野博之
西野博之

1960年、東京都生まれ。認定NPO法人フリースペースたまりば理事長。川崎市子ども夢パーク、フリースペースえん。川崎若者就労・生活自立支援センター「ブリュッケ」など、各事業の総合アドバイザー。精神保健福祉士、神奈川大学非常勤講師。86年より学校に行かない子どもや高校中退した若者の居場所づくりを行う。

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