中学受験における小6の10月、11月は親の焦りがピークに達する「魔の月」だと、プロ家庭教師・安浪京子さんは言います。入試まであと3~4カ月というこの時期をうまく乗り切る3つのポイントとは? 焦る心を解きほぐして、親子で一緒に受験に立ち向かう方法を安浪さんに聞きました。

MENU やるべきことの優先順位をつける 親が自分の時間を持つことも大切 わが子の顔をよく見て、冷静さを取り戻す

やるべきことの優先順位をつける

――10月、11月の「魔の月」を乗り切る方法はあるのでしょうか?

 親の試練の時期ではありますが、乗り切るポイントは3つあります。1つ目は、「優先順位」をつけること。入試まであと3~4カ月のこの時期は、時間があるように見えても、全部やっている時間はありません。「やらなくていいこと」は捨てて「やるべきこと」を絞る必要があります。

――「やるべきこと」と「やらなくていいこと」、どう決めたらいいでしょうか?

 わが子にとっての優先順位の付け方がわからない場合は、塾の先生に聞くといいと思いますが、例えば、模試で算数の「場合の数」がボロボロだったとします。でも「場合の数」が志望校の入試に出ないなら、やらなくてもいいと思います。その割り切りが大切です(※4、5年生はやってくださいね)。

 また、子どもは「これだけやればいい」という量を可視化してあげると取り組みやすいです。逆に、あれもこれもと言われるとやる気がなくなってしまう。やらなくていい問題集なども目に入ると(親が)やらせたくなってしまうこともあるので、入試に必要のないものは一旦、段ボールに入れて片付けておくといいと思います。

 塾の特別講座も同じです。塾はあれもこれも受けたほうがいいと言うかもしれませんが、「本当に必要なのか」を考えてください。長時間、塾で勉強することになったら、家で過去問や弱点補強をする時間がなくなってしまいます。「勉強の量、種類、質」と「塾の授業や講座」の優先順位をよく考えて、やらなくていいことは潔く切り捨てていきましょう。

親が自分の時間を持つことも大切

――2つ目のポイントは何ですか?

 親御さんが自分のための時間を持って、心の余裕をもっておくことです。こう聞くと多くの受験生の親御さんは「この大事な時期に、私の時間? その間に過去問の分析や、わが子の弱点の洗い出し、やるべき問題の絞り込みをしますよ」と思われるかもしれません。ただ、子どもの受験ばかりに注力すると、「親がこんなに頑張っているのに、なんであなたはやらないの?」という気持ちになって、お子さんとぶつかってしまうこともあります。この時期はお子さんもいっぱいいっぱいですから、親も余裕がないと親子の関係がキリキリして、勉強どころではなくなってしまう……そんな心配もあるのです。

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

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